其ノ四百八十  危機的 七つの橋の島
(あ、工事してる?)
防波堤に人の姿が見えず、やった!と思った矢先に手前で重機が動いているのに気が付いた。
防波堤に向かう道はダンプが停まっていて、一軒の家の解体が始まっていた。

忘備録で一年前の釣りでかなりの良型メバルを釣ったとわかり、僕はこの日の釣りを心待ちにしていた。さてどうするか?
気持ち良い天気は今年一番の七つの橋の島。
作業中の方に話をして通してもらうかとも思ったが、仕事の邪魔をするのがどうにも気が引けて、僕は七つの橋の島の四番目の島の港は一旦諦めた。忘備録の一年前の良型メバルの港はここだった。
僕は一気に七番目の島を目指した。そこでなんとか釣果を得るしかない。中潮のこの日、お昼の満潮までまだ間がある。上げ潮の時間帯に七番目の島に掛けてみることにした。
七番目の島の港は数名の釣り人が竿を出していた。防波堤内海側を覗くと魚影が走った。いるにはいる。僕がやり始めると一人の釣り人が声をかけてきた。「チヌですか?」「いやメバルでもと」「太鼓リールだからチヌかと思いました」というやり取りを交わし、ここのみなさんはどうやらチヌ狙いだとわかった。
夕方もぐもぐタイム、デッドストックどんぎつね様。 流れ藻かと思ったら、カサゴっち(^o^;)
七番目の島の港でチビメバルが数匹。これじゃあなあ。
と、いきなりゴツゴツっと反応。僕は大いに慌てた。ロッドを保持しつつラインを手繰る。と、動かなくなった。強く引いてみる。ダメ。
外れたフライがなにかに引っ掛かっている。うー、バレたか〜。良い型だったな。
満潮が迫ってきた。僕は四番目の島へ引き返した。ほかにも当ての港はあるが、あわよくば解体工事が終わっていれば、とも考えた。
天気は上々、しかし海の中は異変が?
四番目の島のいつもの港はお昼だからか工事が中断されてダンプも居なくなっていた。(やった!)と思った時、僕のやりたい場所に釣り人が現れるのが見えた。今から釣りを始めるようだ。う〜、ひと足違いか。でもこればかりは仕方がない。
その更に先でやってみようと僕も防波堤に向かった。「こんにちわ」と先行した人に挨拶すると、その人は僕を睨んだ。
(なんだ? 変わった人だな)と、僕は気にせず先に進み防波堤上段に登って準備を始めた。
先行の釣り人はハシゴを使い上段へ登った。あ、あのハシゴは前回ここに来た時に置いてあったものだ。この人のなのか。
異変が起きたのはその直後からだった。先行の人が竿をあおった。良い型の魚が水面から飛び出した。掛かっている。
その人は一段下へ飛び降り、魚を網にいれて海に浸けた。そしてハシゴでよじ登った。すぐにまた竿をあおり魚が飛び出し、そのあとは同じ動作を繰り返した。そしてまた、魚を掛けた。 なんだ?いったい?

あとで調べてわかったが、この人がやっていたのはギャング針を使ったカワハギの引っ掛け釣りだった。初めて見た。ハシゴの事を考えるとここに通っているようだ。
辛うじてまずまずのメバル様。怒ってる?(^^;)
例によって忘備録で見るとこの四番目の島は六年前に初めて釣りをしてメバルを釣っていた。それからは好釣果はかなりこの港が占める。
しかし防波堤を狂ったように登ったり降りたりしている先行の釣り人を見ていたら、この釣り場は完全に壊れてしまったような気がした。

三番目の島に移動し、まあまあのメバルを釣った。港にはおじいちゃんがお孫さんを連れて釣りをしていて、僕はそれをしばらく眺めていた。
次なる新たな釣り場を・・・妄想中です。