其ノ四百七十七  フラットの潮時
釣りキチ三平の作者、矢口高雄先生のカレンダーが2020年が最後になるとわかり、あわてて注文した。
来年が漫画家生活50年の節目で、それを機に最後にされるそうだ。実に潔いが寂しい気もする。

ぼちぼち来年のカレンダーが出始める時期になってきた。もう11月も中旬、そろそろメバルもよくなってきているはずだった。
徐々に次の年を連想させるものが・・・。
しかし今年の渓流禁漁後はメバル狙いでは一度しか行っていない。しかもその時はメバルは釣れていない。結局フラットの釣りを続けていた。10月初旬のマゴチを最後に釣果はないままだ。それでも行く度にあとちょっと、という状況があってもう今回で止めよう、という踏ん切りがつかないままでいた。
10月のマゴチを上回る強烈な引きの魚(おそらくマゴチ)も掛かったがバラしてしまったし、フライを追って目の前まで大型のチヌがきたこともあった。小さくても掛かってやったと思ったらバレたりもした。そんなことが行く度に一度はあったので、止めるタイミングを逸してしまっていた。
やはりチヌやキビレは夏に釣るのが相応しいきがする。初めて釣った年だから、せめてあと一匹釣りたいと粘っていたのだが、時期的には終盤だった。

フラットの釣りは今までやってきたフライフィッシングにはないフィールドの要素があった。遠浅でひたすら広く、浅いが故に魚の気配が水面に現れてかなりエキサイティングだった。
だから少しでも長くやりたいと思うのも無理はない。
来年は早めに初めて、しっかり釣らせてもらいます。
何年かもやもやしていたフラットの釣り。気にはなっていたが踏み出せないでいた。それが今年釣り仲間の人たちの協力を得て、なんとかフラットに立ちそして初の一匹を手に出来た。それだけで十分感謝です。
これから先は自分のがんばり次第。あのフラットに突き刺さるライン、ロッドから伝わる手応え、そして寄せて魚影が見える瞬間、なんだか待ち遠しいがその前にメバルや来春のヤマメの釣りがある。

11月中旬、僕は今年のフラットの最後と決めた釣りに出掛けた。大潮、14時半干潮からの満ち上げ。干潟が没する時に、僕は今がフラットの潮時なのだと思った。