F.F.雑感
其ノ五百七十二  週末の島の息休め
朝はそれなりに冷えると思っていたが、そうでもなかった。
風があれば体感温度は下がるだろうけど、ほぼ無風。キャスティングをするにはとても助かる。
以前、人に優しい気象条件の日は釣れない、の法則が僕にはあった。港での釣りをやっていくうちに、気象条件やら潮流やらと考えるようになったが、やっぱりまづめが強いのは間違いなさそうだと思っている。
この日も早朝が干潮でそのあと昼にかけてが上げ潮。僕は干潮であろうと早朝釣り開始を目指した。
懸案事項のカメラ修理はようやく申し込み手続きを調べた段階。そして、チヌを釣って終わる、は前回の釣りで達成できた。というか、釣れた釣りを最後にするというやや消極的な終わり方の気もするが、季節の進み具合からしてもあれが潮時だろう。
ところがその翌週のこの日、結果的に最高気温は28度まで上がった。先週の方が涼しかったくらいで、気温だけならチヌをやってもいい雰囲気だ。潮のタイミングが合わないからやっぱりチヌは前回が最後ということにするのだが、じゃあ何もしないかというと、天気も良すぎるくらいいいしそれはそれで勿体無い。
で、島のメバルをという流れになったのだが、28度で好天なら日中は釣りになるまい。朝まづめが有利、というか必須条件とも言えよう。釣り開始は情けなくも8時を過ぎたが、海面はチビメバルがライズするなどの活性は感じられた。
遥か彼方にはチヌを釣っていた場所が見えている。
凪いで晴れて。こりゃ朝まづめでないと、釣れる気しません(^^;)
しかしながら朝まづめを狙うなら当然早起きをせねばならない。6時に起きた僕は、目的の市内から近目の島の港に着いたのが、8時前だった。およそ朝まづめとは言いがたい。
起きれないのは仕方がない(開き直り(^^;))。着いてからの速攻の釣りに全力を尽くすしかない。

目的の港のやりたい場所は空いていた。ほかに釣り人は数名、みんな夜が開け切らぬうちからやっていたのだろう。ご苦労様です。
防波堤の影で目の前の海面はまだ日が当たっていなかった。
時間と共に秋から夏に戻るこの日、よくぞ釣れてくれました。
リトリーブができなくなった。
(引っかかった?)と思ったがじわ〜っと動く。
(かかってる!)僕はラインを手繰った。重たいそれはカサゴ!
タイプ6が功を奏した。
日は徐々に高くなり気温も上がり始めている。潮も上がってきているが、釣れる時間はあとわずかだろう。
だからカサゴは時合いのサインなのだ。僕はまだギリギリ防波堤の陰になっているポイントにキャスト、思い切って待って沈めてみた。そして引く。動かない。
今度こそ引っかかったか。
僕のすぐ近くで釣り始めたご夫婦。
なんか、僕の指、きれいやん(←って、そこ?(>▽<;))。
もぐもぐタイム時にもすぐ近くに・・・。 
フローティングラインで水面をトレースしたが、反応なし。少しでも朝のうちに釣りたいのにこれはタイムロスだ。
すぐにシンキング タイプ6に変えてキャスト。・・・う〜ん、思うようにいかないものだなあ。
「ここでやっていいですか? 反対側でやるので」と声をかけられた。年配のご夫婦釣り師だった。僕はどうぞ、と言いつつバックキャストで気をつけなければ、という足枷をはめられた。
「それは何という釣り方ですか」と旦那さんの方が聞いてきた。ルーティーンのやり取り。
日が高くなり島の海岸はすっかり日差しにさらされた。
この島は昼飯を食べるのに良さげな影になる場所がない。
車で移動しながら探すと◯◯展望台、という看板。そこにはいい景色と東屋があった。これ以上ない場所に僕は昼飯の支度を始めた。
少しするとここでも地元の年配のご夫婦がやってきて近くに座られた。ここはいい場所ですね〜っと色々話をし、 今日はいい息休めになった、と思いながら僕はラーメンをすすった。
最後のメバルの感触は、箸を持つ手の中にまだ残っていた。
こんな明るい時にカサゴっち。相変わらずの重量級無抵抗。