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F.F.雑感
其ノ五百七十六 紅葉の風とナメコの味
魚影が見えた。Tさんと僕が見ていると、ライズした。二人でおおーっと声を出した。
通りかかって見て数秒でライズとはサービス精神のあるヤマメだ。 雨の降らない日が続き、川はすっかり渇水の様子だが、渓魚はなんとか生き延びているようだった。 この日、僕は二回目のきのこ採りにTさんと一緒にやってきた。 前回、ビギナーズラックでかなりの量のクリタケを採ることができたが、そうそう幸運はやってきてくれないだろう。 クリタケやチャナメムツタケをいくらか収穫し、僕はひと安心。Tさんはこれだけでは全然物足りないだろう。さらに渓流沿いの林道を先へ進んで行くと、道端に寄せてある倒木に明るい色で生えているきのこを見つけた。ナメコだった。
前回は見つけられなかったのだが、これが自然のナメコか。傘は開いていたが十分食べられるそうだ。Tさんが傘の開いていないナメコも見つけた。僕はもうこの時点で、帰ってからナメコ汁を作ろうと心に決めていた。 去年はTさんとTSさんでこの辺りでもっと多くのナメコを採ったらしい。毎年同じようにはいかないようだ。これもまた釣りと同じだ。ただ、今回のナメコポイントには次週あたりに採りごろになりそうな極小のナメコがあったので、ナメコの生える場所としては希望が持てる。
林道を進むTさん。その目は菌類にのみ反応する!?(^^;)
メスティン炊き込みご飯も慣れてきて、ああ、うま〜。
去年Tさんがナメコを採った場所に向かった。渓流沿いの林道を歩き、ライズを見て、徐々に森の奥に入って行くにつれ道端や斜面へと注意を向けていく。
来る途中の道路でもだったが、落ち葉の量が先週よりかなり多くなっている。紅葉も今週が見頃のピークだとニュースで言っていた。 そして落ち葉の多さはきのこを見つけるのがむつかしくなると知り、この日のきのこ採りが厳しいものになる予感がした。 でも異例なまでに採れ過ぎた前回と比べてはいけない。
チャナメムツタケは焼きで。これがまた絶品〜。
その後場所を移動して探してみたが収穫はなかった。それでも老菌のクリタケの株を見つけたので、来年のためのデータの蓄積はできたとTさんは言う。
TさんとTSさんのきのこ採りは、全く手探り状態から始めているので、データの蓄積が物を言う。それに徐々に経験してきたきのこを見分ける知識と観察力も。 僕はついていって採らせてもらったり、自分で見つけても大丈夫かどうかを判断してもらっている。 二人の一番しんどかった経験を僕はしていない。
傘の開いたナメコも十分おいしそう。
今回はナメコも。ヌメリの光沢がおいしそう。
山々も深い秋に包まれる。
帰ってからきのこの石づきをとり洗って、ひと息ついた。
後半は収穫はなかったが、かなり歩いたのでアクティビティとしては相当なものだ。 この季節はいつもなら防波堤のメバルだが、それよりははるかに運動量が多い。メバルはこれからが良くなるのであせることはない。 むしろきのこの方がシーズンは短いので、良い時には優先して行くべきだ。 ナメコを採ったあと、川筋を風が吹き抜けた。 その夜はナメコ汁がトップバッター。前回のクリタケ汁もうまかったがこれも絶品。出汁がすごい。
続いてチャナメムツタケと傘の開いたクリタケを焼きで。焼いた時のシャキシャキ食感がこれほどとはっ! 翌日の昼は炊き込みご飯。メスティンの炊飯も慣れてきたようで、今までで一番うまく炊けた。 限られたシーズンのきのこ採りは、良く歩くし山の紅葉と風も気持ちいい。でも何よりも収穫したきのこのおいしさがたまらない。
今回もまずはナメコできのこ汁。いい出汁が出てます〜。
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