F.F.雑感
其ノ六百十一  初のソロ菌活へ
車の外に出るとひんやりした。
金曜日の雨、土曜日の寒気、いよいよ秋が深まってきた感じがする。長袖のアンダーウェアにフリース、まだ寒いような気がしたが僕はこの出立ちで歩き始めた。
落葉樹の葉はほとんど落ちている。これも前日の雨の影響か。
十一月二週目だから紅葉はピークだと思ったが、標高の高いこの辺りは見頃を過ぎていた。

しばらく歩いて、僕は落胆した。去年キノコタワーがあった場所、クリタケが今年も出ていた。だが残念なことに全部老菌だった。
この日はキノコ採りとしては初のソロ活動だった。釣りは一人でも行くが、キノコ採りは一人で行ったことがなかった。始めて日が浅いのもあるが、キノコの判別の不確かさやクマが怖いというのもある。
この日も前回と同じくTさんTSさん共に都合が悪く、僕は前回メバル釣りに行っていたので、今回も行かないなら週末を二回続けてキノコ採りに行かないことになり、かなり収穫を逃すんじゃないかと思い始めていた。
こうして僕は意を決して初のソロでのキノコ採りに出てきた訳だ。しかし、いつも仲間と歩く道を一人で黙々とキノコを探しながら歩くのはだいぶ違和感があった。それとキノコを探すのが大変だ。探す手段が僕の二つの目しかない。今までいかにTさんやTSさんに依存していたかが、改めてわかった。
傘が開いているけど、ナメコだから食べれます〜(^^;)
風炎窯超耐熱粘土スキレットで天然ナメコを焼く。
それにしてもひとりのキノコ採りはできれば積極的にはやりたくない、というのが正直な感想だ。
山奥だとやっぱり熊が怖い。同じ奥のエリアに釣りなら行くが、釣りシーズンはあまり熊による被害を聞かない。今時期が被害が多いのは熊の冬眠前の食い溜めの時期だからだろう。
それとやっぱりキノコは仲間と行くスタイルで始めたのだから、それがいい。
僕にとっては、仲間と一緒に出掛けて探して採って話をして美味しく食べて、を全てひっくるめて菌活なのだと、改めて思った。
こんな豆菌もあり、まだ出てくる可能性を残して(^^;)。
それで思い出した。去年もナメコを採った時は、林道の手前からナメコの株が見えていた。ヌメリが陽射しに反射してよく目立って遠くからでも見えたのだ。
近づくにつれ、でかい? ああ、傘が開いている。でもナメコなら開いていてもイケる。僕は写真を撮ってからナメコを採り始めた。
来れなかったTさんとTSさんの顔が頭に浮かんだが、どのみち次週になるまでにこの菌はダメになる。全部採ってしまおう。
それによく見るとまだ豆菌が生えている。次週採り頃になるはず。
ムキタケ。うどんに入れます
ソロ菌活後の晩酌。ゆるゆると(*^^*)
残念ながらクリタケタワーは全て老菌に。 
クリタケが手遅れだった場所近辺をひと通り探索してから移動して、ナメコの有望ポイントへ向かった。
そこは川沿いの林道で、道の状態からして車は一切入っていない。歩いて入る人はシーズン中の釣り人くらいだろう。
片側は斜面だが反対は川があるから開けている。見通しも良い方だが、やはり一人だと怖い。
僕は熊鈴だけでは心細くなり、iPhoneでフルボリュームで音楽をかけて歩いた。
10分ほど歩くとナメコのポイントに近づき、何かが見えた。
林道を戻る時もiPhoneフルボリューム。車に着いて音楽を止めるとそれまで忘れていた横の渓流の流れる音が聞こえてきた。

帰ってからナメコを洗い、一度湯こぼししてザルにあげた。
夕方くらいからナメコの一部を焼いて、日本酒のアテに。コウタケの時と同じようにポン酢でいただく。食感と旨みが程よくうまい。
できたら網焼きがいいのだが、家でやるには色々準備が必要だし、火力を何にするかというのもあるし。焼きは当面は風炎窯スキレットでやろう。
秋の深まり、空気や色合いで感じます。