きらっと光った瞬間手が動いていた。
かかったのか? いや、合わせられたのか? いや、あれは魚が出たということだったのか??
手元に寄せた小さなヤマメ。なんだか釣ってしまって申し訳ない。
あらためて川を見る。がんがんに日差しに照らされてとてもじゃないがヤマメなんて釣れそうもない流れだった。朝のうちからもう暑い。汗が流れ落ちた。
ただ水だけはしっかりある。だからこの川に来たのだけれど。
谷のゴギも不調だ。渇水の影響をもろに受けている。
それでもゴギのことだから、行きゃあなんとか釣れるとは思うが、カラカラの川で小さなゴギばかり釣っててもむなしい。
そんなこんなで意を決して大きめの支流にヤマメ狙いに来た訳だ。
朝一番に下流の方をやってみたが一度の反応もなかった。道路から見るよりも水量は多く、遡行はきつかった。
続いて中間区間に入ってこのチビヤマメ。早起きの甲斐もなく太陽は待ったなしで照りつけ始めた。
これまた渋い出方のヤマメ。
いや〜、もうあの日の当たる流れには出たくない(>_<)
少しリフレッシュできた。
また移動し、この川の上流区間に入った。最初の二区間よりは水は少ないがやってみる。
良さそうなポイントで出てこない。時間が経ち過ぎたか。もう昼を回った頃で気温もぐいぐい上がってきている。
トンネルのように木々に覆われた流れで、上流から風が吹いた。
びっしょりの汗も消し飛んでしまいそうな涼風だった。なんと気持ちがいいのだろう。
僕はしばらくの間そこから動けなかった。なんだか休憩ばかりしているな。
上流区間、木陰で風が吹きとおる。もう天国。
木陰が途切れまた日の当たる流れでフライを投げながら歩いた。
堰堤の水しぶきも虹も涼風も、その時の気持ちよさはその時だけのものだった。
暑い場所に戻るとまた汗が吹き出す。ちょっとやそっとのリフレッシュじゃ効きやしなかった。

腹が減った。昼食にする。
水辺の一等地に陣取り、冷やしうどんを用意した。
食べてひと眠り。これなら日差しや熱風にもかなり耐えられるリフレッシュになったのではないか?
川は水量たっぷり、魚影は・・・。
中間区間を進むと木陰ゾーンに入ってきた。それだけでもやる気がだいぶ出てくる。
ていねいにフライを放り込んでいくと、追い食いのように水しぶきが上がった。
もう忘れそうになっていた魚の引きだった。やれやれ。

小さな沢に入り込んで休憩。
沢にある堰堤から落ちる水はまずまずの量で、それが集まりこの川の水量をあれだけにしているのだとわかる。
よく見ると堰堤から落ちる水に虹が掛かっていた。
この日の暑さに対抗するための武装。
梅雨が明けたら雨雲レーダーや累加雨量のデータで釣行先を決めるのが夏の釣りだった。
今年は降った時もあったが、ここ二週間はほとんど降っていない。前回の連続堰堤の川は水量だけはあったが、ほかは渇水のひどい状況だった。
それから一週間、暑さも加わり事態はさらに深刻だろう。

水量の多さに的を絞り釣行先を決めたのは正解だったのだろうか。僕は目の前の流れに集中した。
この日はこの三本で。
ようやく日陰の流れ。反応してくれっ!!
堰堤にかかる虹。マイナスイオンとともに。
夢を見ていたのだけれど、目が覚めたら忘れてしまった(^_^;