其ノ二百八十六  テレストリアルの動機
ビートルのぽってりボディはマシュマロで。
ようやく梅雨らしく雨が降った。というかちょっと降り過ぎだ。台風の影響もあり多いところでは積算雨量が330mmを記録した。
50mmも降れば結構な増水になる。それだと今はどんな状況か、容易に想像がつく。

雨と水位を気にする季節がきたら、フライも色や形が変わり始める。そしてそれはシーズンの三分の二が過ぎた事を知らせるものでもある。
気持ち程度のダビングボディにぱらりハックルとウィングのみ。コレもアリ!?
雑誌で見たマシュマロパターンのビートル版を巻いてみた。ビートルはボディにボリュームがあるので、マシュマロならボリューム感と軽量化を両立させることができる。
今までビートルにアントにワームと、テレストリアルのフライは定番のパターンばかり使っていた。しかし暑い季節のスレた渓魚には定番だけでは太刀打ちできないことは十分承知している。
少し目つきの変わったフライが必要だった。

メイフライの季節の後半、5月から6月くらいになるとカディスパターンが良くなる。テレストリアルの季節もそのままカディスで十分通用するが、色は黒系に変えたりしている。
そのカディスのウィングをマシュマロにつけてみたり余計なものを一切廃したパターンにつけてみたり。良いとこ取りの混合パターンになりそうだが、それが必ず良いかどうかは試してみないと何とも言えないところだ。
しかし、今までとちょっと違ったフライを巻いて釣りに臨むのは新鮮な感覚があって面白い。これにヤマメが目に見えて良い反応を示してくれたらしてやったり、なのだが。
ピーコックソードのウィングでスペントビートル。浮いても沈んでも(^_^;
それは釣り人目線での勝手な思い込みだが、そういう感覚と実際の暑い季節の餌生物とが合致しているから、僕は違和感なくテレストリアルを準備する。

夏→テレストリアル→禁漁が近い という図式が頭に浮かぶのも今時分からだ。
毎年夏に終わりを迎えるこの辺りの釣り。フライもテレストリアルで終わりを迎える。
そのこともこの季節のパターンを印象深くしている理由かもしれないなあ。
テレストリアルを持ち出すのは当然季節が進んできたからで、捕食する対象が水生昆虫から陸生昆虫へ移行してくるからなのだが、それだけではない感覚もある。
山は濃い緑に覆われ、気温は高くなり、釣り人は追われるように沢に入る。沢の規模に呼応してショートロッドも持ち出す。その一連の流れに陸生昆虫のフライも組み込まれている。
細い沢は蒸し暑いしクモの巣もあるしボサボサになってたりもする。
そんな中で釣りをするのなら堅牢でパンチの効いたテレストリアルでないとヤマメたちにアピール出来ないようなきがする。