2015 釣乃記
第拾話  ヤマメはどこへ行った 〜前編〜
トンボは石面羽化。なかなかエグイ(^O^;)
オレンジ色のインジケーターがよく見える。
前夜、寝る前ぎりぎりで巻いてきた数本のうちのひとつのパラシュートフライだった。
着水の感じも流れるレーンもドリフトの具合も悪くない。これで出ないのなら居ないのだ、と僕はあきらめて先へ進む事にした。
絶好のポイント、場合によってはこの日一番の場所だったかもしれない所でのこの状況に僕は落胆していた。
ゴールデンウィーク最後の釣行での最初の流れでのことだった。
今回も快晴。しかし、別の要素が・・・。
例年のパターンだとゴールデンウィーク真っ只中は釣行を避ける。高速の渋滞があるからだ。
とは言え天気が良くて予定が空いていればじっとしているのはもったいない。
で、せめて早く出て早く帰れば渋滞に巻き込まれることはないだろうと考えた。

前回同様快晴の予報。時間はすぐに経ち、だんだんと釣れない時間帯になってきた。
早いうちに釣っておかないと早めに帰る作戦も成り立たない。
大型のカワゲラ登場。そんな季節になったのか。
ずいぶん遅く合わせてしまった。クッとロッドに乗った重みはすぐに消えた。
この日初めての手応えだったのに。集中力が散漫になっていた。
道路に車が停まっているのが見えた。先ほどの釣り人の車か。ここに停めて上流へ入ろうとしていた? つまり直前までの僕の釣りには全く影響していなかったということだ。僕は勝手な思い込みでチャンスを逸してしまった。
仕方がないので道路に上がると、停まっていた車が走り出した。ここをやらないらしい。これで彼は全く先行者ではなくなった。
道の釣り人が見えなくなった。僕も道路に上がろうかどうしようか迷った。しかし前方に好ポイントが見えている。ここはダメ元でちょっとやっておきたい。僕はそのまま流れの中を進みキャスト出来るところまで距離を詰めた。
一投目、長めのティペット部がポイントに着水、フライはその上流だ。よれた流れをやや不自然にフライが流れたその時、ボソっと水泡が割れるような変化。
出た! 僕はようやくの反応に合わせ方を忘れていた。
第1ラウンド終了〜。第2はあるのか?
う〜ん、ハヤしか見えんな〜。
この日入渓した川は小さな流れだが去年良い釣りをした川だった。
もちろんいつ来ても同じ釣りができるとは限らない。
ふと前方に気配を感じた。人だ。川に沿う村道を釣り人が歩いていた。
ああ、先行者がいたのか。連休中だし十分ありうることだが、なぜかこの日僕はそこは考えていなかった。
先行者はフライロッド持って道路を上流へ向けて歩いていた。
後方から来たのか? 僕より上流をやっていたのか? ちょっと判断がつかない。
春の土手は花々で彩られて。
マシュマロパターンで、叩いて釣れるのか?
僕はあまり先行者に合うということがない。以前はよくあったが、最近は同河川のある区間をずっと釣り上がるというスタイルをあまりせずに、良いポイントだけを良い時間だけ攻めるピンポイントの釣り方なので、先行者と出くわすことが少ないのだろう。
これから暑くなり谷へゴギを釣りに入りだしたら釣り上がりスタイルになってくるから、そうすると先行者との遭遇も増えてきそうだ。
この日は久々に叩いて釣り上がるスタイルだったし、かなり小さな川なので入渓する場所は誰も同じところをと思っているのかもしれない。それにしても道の釣り人からも僕は見えているだろうに、わざわざこの辺りに入ったのだろうか?