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2015 釣乃記
第八話 里の川にそよぐ風
体高のあるヤマメ。これは良いかも。
川の中流域の釣りは春先がメインになる。開けているからロッドは振りやすいが、季節が進むにつれて晴れた日の日中は魚の反応がなくなってしまう。
この日も天気はいいからどうだろうか? と思ったが、増水で入れたなかった中流域がようやく水の落ち着きを取り戻した頃でもあったので、ちょっとやってみようと川に下りてみた。 中流域の石はヌルがついているので滑りやすい。僕はよたよたしながらロッドを振り始めた。
のどかな〜、田園と里川と〜。
テンポよく釣れ始めた。こうなると釣りは面白い。
サイズはもうひと息だが良く太ったやつばかりだった。中流域はエサには困らないのかもしれない。 少し深みのあるポイント。ひと通り流したが反応無し。移動しようとした時足元が滑った。 あっ! と本当に声が出た。立っていた所はなんて言う事はない浅い場所だったのに横倒しになってしまい、一瞬でウェーダーに水が入ってきた。
低い堰堤はこの川の特徴。
ここは葦が水際ぎりぎりまで生えているので、両側を葦の壁で仕切られたような川だ。
岸に上がってキャストするのは葦に邪魔されてむつかしい。結局ヌルヌル滑る川に立ち込んで釣り上がっていくスタイルとなる。 何匹かカワムツを釣ったあと、ヤマメが出た。やっぱり出方が違うな、ヤマメは。 そこまで大きくなくても引きもヤマメの引きだ。 どうやらこの中流域は見当違いではなかったようだ。
歩いて下流側へ向かった。もうすぐ陽が山に沈む。
トロッとした緩い流れ、ライズでもしそうなものだが、しない。 キャストすると小さいハヤが釣れた。こんなものだろうか? 緩い流れの一番奥まった所へキャスト。居るんならここだ。 ポソっと小さく出た。合わすとドンっと重さがロッドに乗った。 車に戻るとズボンはすっかり乾いていたが、ウェーダーを脱ぐとまだ中はしっかり湿っていた。 でも川筋に吹く風が濡れた足をすぐに乾かしてくれた。
稜線に日が隠れるまでの、もうひと釣り。
粘りの一匹は沈したことも忘れさせてくれた。
小一時間釣り上がったが結局新たな釣果はなかった。なんだか沈を境にこの日の釣りの流れが変わってしまったような気がした。
ズボンを干している岩の所まで戻った。ズボンは腰回り以外は乾いていた。 僕はズボンを持って車まで戻った。入渓してからずいぶんと長い時間が過ぎていた。 車のラゲッジスペースにズボンを広げて置き、しばし考える。 素肌にじかにはくウェーダーも気にならなくなっていた。 ![]() ![]() ![]()
派手に沈した。こんなのは久しぶりだ。晴れているとは言え、川の水は冷たい。ウェーダーの中は水が溜まっていた。
(どうするか?) 釣りをどうこうというより、この状態をどうするか? シャツの替えはあるがズボンはない。濡れた状態では新しい車のシートに座る事は出来ない。迷っても仕方がない、方法はひとつ。 僕はウェーダーを脱ぎ濡れたズボンも脱いだ。そしてパンツ一丁でウェーダーをはいた。濡れたズボンは岩の上に置いて干す。 上半身は袖が濡れたくらいだ。ズボンも袖もちょうどいいくらいの風が吹いているのでじきに乾くだろう。 ズボンが乾くのを待つ間の時間潰しで僕は釣りを再開した。ベストも濡れたのでいくつかの小物は水浸しになっていたが釣りには不都合はない。ただ素肌の上から内側が濡れたウェーダーをはくのはなんとも言えない気持ち悪さだ。最初は冷たかった水気は体温で徐々にあたたかくなってきていた。 ![]() ![]() ![]() |