2015 釣乃記
第拾四話  満腹の釣りのあとさき
不用意な一投ででかいのが出る、というのがよくある。
その頻度はよそ見をしている時に出る、というのと同じくらいだ。
この日もやってしまった。入渓して数投目、なかなかのサイズだった。もしあれを釣ってたら、この日は余裕で過ごせただろうに。
五月下旬ではきびしいと思える下流域に勝負を賭けた。読みは合っていた訳だ。問題はこのあとで、この先この下流域で続けるのか?
早々に上がって移動した方がいい、ともうひとりの僕がささやいている。
帰りの片づけ時、こういうのがありがたい。
この川の上流域は釣りをしたことがなかった。そもそも今いるくらいの川幅の狭い場所での釣りは、今季初めてだ。
ロッドは7フィートShowmaなので問題ない。直感で見当をつけて入渓した。
ランチ会場よりやや下流、木々で覆われて道路からは見えない流れだ。川筋に立つとそんなに狭くはない。7フィートのロッドなら十分に振れる。
クモの巣は無し、水量まあまあ。第一投、出た!

上流域でも広い駐車スペースがあると安心です。
結局道路へ上がれる場所までは行くしかなくて、かなりの距離を遡った。
その間にちびヤマメ一匹。大場所でコレか。でもこれは新子?
新たな命が育っていると思えばまた違った感慨がある・・・とも思えるがなにより腹が減った。

一気に上流域へ移動し、川原で昼食。かなりグロッキーだったので食べ物がありがたい。
昼食後すぐそばにフライを流すとヤマメが釣れた。かなり上流だがここは全域がヤマメの川なんだ。
ランチの前に2台くらい釣り人らしき車は見た。この区間は手付かずのようだ。
続けて数匹、ぱたぱたっと釣れた。この川はなかなかいいな。
できればまだ開けた川でラインを長く出して、という釣りを続けたかったがこの日はくじけた。
昼を腹いっぱい食べ、釣りのしやすい規模の川で条件も悪くなく。
最初っからこういう釣りができていたら良かったのに。
いや、違うか。下流域の釣りはあれはあれで大切だ。小渓流とは違った趣、楽しみ方があるのだし。
そしてこの逞しい赤が、また。
出前一丁、チョップドハム&キャベツ、ネギ入りσ(^_^;)
予報は曇り。夕方から雨。これなら下流域でもなんとかなる、というのも読みのひとつ。
僕はしばらくここを釣り上がることにした。十分歩ける水位ではあったし、上質なポイントがいくつも見える。
良い所だけを狙ってテンポよく釣り上がる、というつもりがやっぱりなかなかペースが上がらない。大場所は歩くのにも体力を消耗するし、好ポイントは見過ごす訳にもいかないし。
しかし最初の不用意空振り以降、ハヤも突っついてこなかった。
大場所だが渇水だから歩ける。でも釣りには不利。
やはりこれからはストーンフライのパターンか。
パラシュートよりはカディススタイルの方だな〜。
やっぱり狭いことは狭い。
タツナミソウの涼しげな色。
釣りに限らないがメリハリは必要だ。きびしい釣りもゆるい釣りもそれぞれバランスよく混ぜて。
この日帰りに食べた岩魚茶漬け丼がまさにそれだ。いろんな要素のバランスが絶妙。計算して作れるものではないのかもしれない。

そろそろ川から上がろうか、という時、間際の一匹は良く引いた。
筋肉質の魚体に大きな尾びれ。
これもまたメリハリなんだと思いながら、リリースしようとしたらヤマメは僕の手を跳ねのけるように流れに飛び込んでいった。
ゴギは釣ってません。だから岩魚茶漬け丼いただきます(-_^;)