其ノ三百三十九  マシュマロとランガン
最初の港。おだやかではあった。
僕がよく行く島は北から南下して東側・南側は行くが西の海岸沿いは今まで釣りではほとんど行っていない。
その西側の港もいいよと釣り具屋の常連さんに教えてもらった。
先週、マシュマロパターンでソルトフライを巻いた事もあり、その試し釣りを兼ねて西側を目指す事にした。
朝のうちは曇っていたが島に渡った頃には晴れてきた。風はない。
日中の海で釣れない時の条件がそろいつつあった。
またしても失速気味か?
教えてもらった港に着いた。誰もいない。潮は満潮を過ぎ、下げの潮流は始まっている。
防波堤の内側外側それぞれにキャストしてみたが全く魚の反応はない。魚影も見えない。静まり返っている。
少しすると二人連れの釣り人がやってきた。あいさつを交わすと彼らは防波堤の突端を陣取った。
僕は突端ではやる気はない。それにこの状況では粘っても仕方なかった。
島の西側の海岸を反時計回りに辿る。車でものの数分、すぐに次の港が現れた。ここの長い防波堤は立ち入り禁止だがほかの小さな防波堤があるので少しやってみる。
ここにも二人連れの釣り人。ほかはいない。二人から離れた場所でキャスト。リトリーブするとクンっとロッドが重くなった。掛かっている。フライはマシュマロを付けていた。なんだかよくわからないうちに釣れて拍子抜けだ。
ともあれマシュマロパターンで初めて海で魚を釣った。実は釣り具屋でこのフライを見せたらかなり好評だったので、なんとしてもこのフライで釣っておきたかった。
それにしてもよくもこのフライをくわえたな? というような小さなメバルをリリースし、僕は次の港へ向かった。
マシュマロシュリンプ。魚は誘えるようだ。
ご、ごめんなさい。まさか食いつくとは(^_^; 
西側反時計回り、帰路の道路との合流点までだと次が最後の港になる。
ここには釣り人はひとりだけ。すでに潮は干潮に近い。暖かい陽射し、無風、もう釣れる要素はほとんどない。
フライをヘロンのパターンに変えてみた。実績あるフライで少しでも魚をと思ったのだ。
しかしここでも反応はなく、タイミングも悪いし今日は諦めて昼ご飯でも食べようかと思った。
ゆったり島ランチ。なんだか春の陽気です。
腹は減っているけど、もうちょっと、ね。
それでも最後にとマシュマロに戻してキャスト。リトリーブすると水面近くがざわめき始めた。
よく見るとマシュマロシュリンプのあとを何匹、何十匹もの魚影が付いてくるではないか。
明らかにマシュマロが水中の魚たちになんらかの影響を与えていた。しかし食いつくまでには至らない。あとひと押しのなにかが足りないのだ。
もう少し、マシュマロの効果を検証せねば。昼ご飯はまたしても遅れることが決定した。