2021 釣乃記
第拾話  増水の思惑と現実
M川氏と釣りに行った時にボトルの忘れ物があったので、届けに行った。
GWの釣りの様子をあれこれ話をしたが、なんだかんだ言って雨が結構降って、思うように釣りができなかったと言う話になった。
渇水の季節、雨は歓迎だがこちらの都合のいい降り具合にはなってくれない。
ここ最近僕がよく行く流れはM川氏はよく知っている場所だった。さすがに川のことはよく知っていらっしゃる。大場所なので、雨の影響はどうだろう?
この時期注目している支流と本線の合流地点。本線は先程のポイント同様そこまで増水している感じではなかった。ところが本線に入り込む支流は見るからに増水している。本線に合流すると広い川幅に広がるからあまり増えたように見えないようだ。
その合流する手前の支流側、少し前のみぞれの降る日にウエノヒラタカゲロウの連続ハッチとライズがあったところだ。
この日はハッチもライズもないが魚は居るに決まっている。僕はヤマメにウエノヒラタの記憶がまだあると信じて、オレンジボディのフライを投げた。出ない。もう一度、出ない。やはりハッチがないとこのポイントは攻略できないか。
そこから少し本線を下る。歩き出すとやっぱり水が多いのがよくわかる。いつも多いわけではないから、ただ水位が上がっただけの流れに魚はつかなさそうだ。ちゃんと付き場になる条件がそろっている場所になんとか着いた。
早い瀬と緩い流れがある、その境目にダウンクロスでフライを浮かべる。毎年この場所でやるやり方だった。そして、出た!
大場所、瀬と緩流帯の境目からの一匹。
小型カゲロウは次々ハッチ。こんな小さなフライはBOXに無し。
水中でギラリと魚体が光る。ロッドを心地よく曲げてくれるいいアマゴだ。

僕は場所を移動して更に下流へ向かった。増水時によくなるポイントの真打がある。
ところがそこは全く増水していなかった。途中で取水する場所があったのか。
増水で活性の上がるポイント巡りの最後は空振りに終わった。でも釣った二匹の魚の手応えを思い出せば、この日は十分満足がいく。僕は帰ったらM川氏に川の様子をメッセージしようと思った。
(これはそんなに多くないな)
僕は逆に期待外れだと感じたが、とりあえずやってみよう。
何度か流しているうちにいきなりライズした。ハッチは見えない。フライに誘われたのか?
次のキャストで出たが空振り。フライを変えてまた出た。空振り。
フライが合っていない。
結局釣ることができなかった。この場所は増水している時がいい。その意味ではまだ良い状態に少し足りない水位だった。
さて、沢に入るか、本線をやるか。
最後のポイントはいたって平水でした(^^;)
岸際の灌木のスレスレの流れは格好の隠れ家に違いない。
グングン引く。ヤマメの小気味よい引き。やはり前回のあのバレた魚、引きは強かったが単調でヤマメっぽくなく、鯉だったかもと思いながらネットですくった。
M川氏の工房でも、やっぱり鯉かもと話したが、出たポイントはヤマメのそれで、鯉がヤマメを押しのけて場所取りするのか? などの疑問点はまだ残る。
次に移動した場所は水位が高く流れも暴れて手が出せなかった。
また移動。今度は川幅が広く、増水してもゆるやかだ。ただ腰下まで浸かると太い流れに押される。
久しぶりのアルストなのに、袋麺を忘れた(>▽<;)。
これだけ水が多いと、釣りが成立しているかが不明瞭。
この小動物を食うやつが、近くにいる(^^;) 
流心の向こう側は岸際ギリギリまでが灌木で埋まっている。
灌木すぐ手前にフライを落とす。メンディングがあまり効かずドラグがかかるまで2秒くらい。
キャスト、2秒、ドラグ、を少しづつ投げる位置を変えながら繰り返す。
灌木に引っかかりそうなところを通過した時、ヌメっと出た。ロッドをあおる。ズンっと重みが伝わってきた。
掛かった魚は重い流れに乗って下流へ下っていく。僕はラインを止めつつ緩めつつ自分も下る。
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