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其ノ二百九十八 フリーフォールの島
前夜、取り急ぎ巻いたフライ。
「なにを釣っているの?」
「はあ、メバルを」 「イカはやらないの?」 「このあたり、コンクリートに墨がついてないですよね?」 「そうそう。ほかの釣りの人も今年はイカがダメって言ってた」 地元の人と話をしつつ、うむやはりそうか、と納得しつつ僕はまたフライをキャストした。 会社の仲間と行く釣りがダメな翌週はフライで。今回もこのパターンとあいなった。
イカの話をした地元の人は僕の釣りスタイルをいぶかしんで見ていたみたいだった。
先週のエギング初挑戦は惨敗で、まあ初めてやったのだしこれからがんばれば。と思ってはいるのだが、この日はフライロッドを持ち出した。やっぱりこちらの方がしっくりくる。フライでイカはむつかしいが積み重ねたメソッド(!?)でメバルを狙える。 エギングのあのシャクリの大きなアクションを僕はまだ自分の中に受け入れられていない。まさか道具を買ったのにもうやらないという訳にはいかないが、自ら進んでエギングに行こうという気持ちにはなっていないのが実情だ。 しかしこの日はフライの道具を持ってきたのだから、そのことは忘れて釣りをしよう。
朝まづめは干潮真っ只中。
上げの潮流が始まった頃に僕は島へやってきた。 目指す港の防波堤には誰もおらず、貸し切り状態だ。 まだかなり下にある水面には小メバルの群れが見える。きっとその下に大型が・・。 数投で一匹掛かったがすぐにバレた。でも気分的には余裕だ。 風は吹いたり止んだり。厚い雲に覆われているがそんなに寒くない。
曇りの海。期待の潮は? 水温は?
このオフシーズン初メバル〜。ちっちゃいσ(^_^;)
いますねえ。でもそう簡単には釣れない・・。
反応が悪くなった。そうだった、忘れていた。メバルはフライにスレるのが早いのだ。
場所を変えつつフライを変えつつポイントを休ませつつ、小さなメバルを何匹か釣った。 リトリーブしているとガバッと良型メバルが食いついた。反射的に合わせたが掛かってすぐバレた。もったいない! 合わせない方がよかったか。しかし見えてしまうとどうしても合わせてしまう。
初の魚種、クロソイ釣りました(^O^;)
今までは下げ潮狙いが多かったから上げ潮はなんだか静かな印象だった。
潮流がゆっくりな分フライをよく見られることもあるのか、まったく反応しなくなった。 思い切って場所変えをしようか迷っていると、目に見えて大きな潮流が港の中に入ってくるのがわかった。この変化はチャンスかもしれない。 とは言え僕のフライではダメかも。ここは苦しい時の・・で市販のカブラを使う事にした。
カブラはすこぶる反応が良かった。型は小さいが反射的にメバルが飛びついてくる。なんなんだろう、僕のフライとの違いは。考えられるのは重さだ。
重いダンベルアイはカブラにはない。この軽さが自然な沈下を実現させている、それがいいのだろうか。 僕はいつの間にか重くて底まで沈みやすいフライばかり巻くようになっていた。 比較的軽めの自作フライを投げると重い反応が返ってきた。 今日はこのあと新蕎麦を食べて帰ろう、と僕はラインを手繰りながら思った。
晴れてきた。満潮まであと少し。
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そして、饕餮庵さんの十割蕎麦を。ミニ天丼も(-_^;)
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