其ノ二百九十九  東へ北へ
鮮やかな赤、とはなかなかならない・・・。
Kさんと向かったのは県北部の紅葉の名所の公園だった。
朝は早めに出て所々寄り道しつつ紅葉の写真を撮りながら向かおうという算段だ。
北へ向かうにつれ山間部の道路や周辺の集落は、霧がその上を覆い始めていた。
Kさんは「○○山へ行ってみよう」とひらめきを口にした。
ハングライダーやパラグライダーの離陸ポイントのあるその山はすっぽり霧に覆われていたのだが。
そもそのKさんと紅葉撮影に出掛けようと言うことになったのは、いつものフライショップであれこれ話をしていてのことだった。もちろん釣りもされるKさんだが写真もだ。僕の写真展にもお越し頂いている。
竹原の憧憬の路という祭りに出掛けた時も違う人だが連れ立って撮影に行った。写真も人と行くのは面白いし勉強にもなる。このあたりは釣りと同じことが言える。紅葉を撮りに行こうというKさんの提案を断る理由はなかった。
目的の公園はけっこうな人のにぎわいだった。小さな山になっていて駐車場から歩いて上がる道すがら、そこここにある紅葉を撮って歩いた。
緑から黄色、そして赤といきたいところだが、鮮やかな赤の紅葉はわずかで、赤と言うより焼け焦げた茶色に近い色になってしまっているものが目立った。
それはたまたま今年が色づきが悪いのか? それとも紅葉にも有害な紫外線がそれを遮るべき層を貫いて降り注いでくるようになってしまっているからなのか? 僕にはわからなかった。
紅葉の写真撮影行を終え市内へ戻り、雲海の幸運をお互い噛みしめつつKさんとわかれた。
僕はその足で東へ向かう高速に乗った。ずいぶん気が早いが釣り仲間との忘年会を仲間のやっているGaraly&Cafeですることになっていた。
雲上&紅葉から日の暮れつつある山里のCafeへ。一日の中で大きくベクトルの向きを切る事は、僕の脳に刺激を与え運気に流れを呼び込む事になる、と勝手に思っている。さあ、食べて飲もうか。
まさに海。雲上人に僕はなりました(^O^;)
そして、ここにやってくるのであった。
山頂へ向かう道の途中から期待が一気に高まった。霧の上に出たのだ。晴れている。
離陸ポイントからは見事な雲海の絶景を見る事ができた。
長年この県に住んでいるがここまでのものは初めて見た。Kさんのひらめきは大当たりだった。
小一時間写真を撮りまくり、後ろ髪を引かれつつ僕たちはその山を降りて目的地へと向かう事にした。途中昼食も取った。
昼前には霧は晴れ、県道を走っていても青空が見えてきた。
静かな夜にゆっくりと宴は進んでいく(^_^;
今のうちから来シーズンのことをあれこれ、は・・さすがに気が早過ぎる。9月以降、海の釣りはもう6回も行っているが、なかなか釣りのリズムに乗れないでいる。
まあ年を忘れる会、なのだから好きな事をしゃべって食べて飲めば良い。気を許していっしょに話のできる仲間がいるというのはやっぱりいい。
気温が下がり酔いはあまりまわらないが、お腹だけはかなりいっぱいになった。昼間の撮影行の疲れも手伝ってか、僕は少しだけまぶたが重くなるのを感じた。