其ノ三百  鮭を追いかけて  2013
出発した観察会ご一行様。
23回目!? と聞いてピンとこなかった。
ということは23年前から遡ってきていたのか。いやもっと前からだ。ここにこの川がある、その時からずっとだ。

日本海に流れ込む島根県の川の中流域の支流。この川に鮭が遡ってくる。
去年は仲間が集まって鮭を見たのだったが、今年はこの町の観察会に参加するという形で見る事にした。
集合場所がわからずにとにかく町の道の駅に行くと見慣れたW氏の車がすぐに目に付いた。
観察会集合時間の9時が近づきW氏らと僕は集合場所の町の公民館へ歩いて向かった。
参加申し込みを済ませゼッケンを受け取る。主催者の挨拶で今年が23回目と知り、驚きはしたが当たり前でもあるのかと納得もした。
参加者は10数名、歩いて観察ポイントへと向かった。
ここ数日の観察で去年鮭の産卵が見られた場所にはおらず、もう少し上流でその姿が確認出来たという。途中でも単独での鮭の姿を見つつ僕たちは更に歩いた。
今年は場所だけでなく時期も少し変化しているようだった。実際観察会も去年より一週間遅い。夏の暑さ、海水温の高さが鮭の遡上にもなんらかの影響を与えているという話だった。地元で観察を続けている人たちにはそういう変化がつぶさに伝わってくるのだろうか、繊細に敏感にそういうところを感じ取っておられるみたいだった。
参加者はやはり地元の人が多く、他県からの参加者は僕たち以外では子供を連れたお母さんが広島から来ていた。彼女は子供そっちのけで橋の上から見える鮭におおはしゃぎしていた。瀬戸内の河川では見る事のない、魚体のあちこちが白くなって痛々しい鮭に驚きと感動をもらっていたようだ。
橋の上から鮭を見ていた。見えているのは雌の鮭だった。そこに雄がやってきたが、雌はすぐに泳いで離れてしまった。
僕が「なんでペアにならないんだろう?」というと、僕の隣でそれを見ていた参加者の女性が「気が合わなかったのね」とサラッと言った。
その人は魚の生態とかに詳しい訳ではなかろうが、まるで鮭の気持ちがわかったかのようだった。
こういうところは鮭も人も同じなのかなあ。
流域の所々にその姿を見る事ができた。参加者は一喜一憂。
朝のうちは冷え込んだが歩いていくうちに身体は暖まり、霧も晴れて日も出てきて、なかなか快適なウォーキングにもなってきた。
この支流はこの夏の豪雨災害でかなりの被害が発生しており、鉄道は不通のまま、あちこちの護岸も崩れていた。
川の様子もかなり変わっていて当然鮭の遡上や産卵場所にも大きな影響があるはずだった。
地元の方たちも今年の鮭の様子がどうなのか気が気ではなかったようだ。
かなり間近で見れるポイント。みんな見入ってます。
上流観察ポイントではかなり近くで鮭が見れた。産卵床を掘る様子も。痛々しい魚体ではあったが長い旅路の果ての最後の使命を果たそうとしているのがよくわかる。
なんだか僕もがんばらなきゃあと思った。
同時に地元の観察会の参加は鮭だけでなく人間ウォッチングもすることができた。
道の駅に戻り芋煮をいただく。調子にのって食べ過ぎた。このあとW氏はたたら跡を探すようだ。僕は腹がなごむのを待ちながら、24回目の観察会も参加しようと思っていた。
観察会のシメは芋煮で。あったまる〜。
鮭のやってくる川。きっとこれからも。
どんなに体が傷もうと、種の存続のために・・。