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其ノ三百三十六 初釣り 雪の町から花の島へ
あいや、こんなに真っ白に。市内でここまでなるのは初めて見たかも。
降る降るとは聞いていたし予報でも言っていたが、朝起きてみてこれほどまでとは!?
まさかここより南の沿岸部や島まで積雪があるとは思えない。 人に厳しい気象条件の日の方が魚が釣れる、の法則はこの日に当てはまりそうだった。 一週間前、1月3日のことだった。 新年恒例の初釣りに海に行こうとしていた朝の積雪。 僕は寒さと雪を振り払い、車を走らせた。
島へ上陸。風は冷たいが雪はありません(^_^;
橋を4つ渡って目的の島に着いた。予想通り島には雪はない(当たり前か)。そのかわり寒風が容赦なく吹きつけてくる。
目当ての港の防波堤には男性とその父親らしき二人連れがいい場所を陣取っていた。 僕は挨拶して彼らの更に先の防波堤突端まで歩いて準備を始めた。 防波堤の内湾側をのぞくと小さいメバルがいくつか見える。日差しはあるので水中はよく見えた。 でも見えない所に大きいヤツがいると信じたい。
年末の釣りで#8ロッドから#6に持ち替えたギャップと、#6にタイプIVの実績ある組み合わせ、さらに実績ある場所でという釣りに物足りなさというか面白みに欠けるという気分になった。
その日帰り道でつらつらと考えるに、まずその実績というやつはソルトのフライフィッシングを始めて六年あまりの時間をかけて(冬だけだが)構築してきたものではないか。たしかに同じ場所でというのはまだ開拓する余地はあるし、実績ある場所で無難に釣果を手にしたいという安全策をとるかどうか、というのもある。それにしてもそれをすぐに物足りないとはあんまりだろ、自分!? この日の初釣りはやはり実績のある場所だが、新たな試みも準備してきている。毎回少しづつでもテーマを掲げる、ということが大事なのかもしれない。
防波堤先端付近でキャストをしてみるが反応はない。こうなると防波堤の一番良い所を陣取る親子連れの動向が気になってしまう。
先端付近は風が強すぎる。キャストしたタイプIVのヘッドも舞い上がる始末。条件が悪いと釣れるの法則も限度があるだろう。 親子連れの息子(と言っても僕くらいの年か)の方がしきりに父親のそばについてあれこれ釣りのサポートをしている。 しばらくしても二人に釣れる様子はなかった。
おお、久しぶりにこやつも釣れた(^_^;
この冬一番のメバル。それでも20cmいってないかー(>_<)
親子連れは帰り支度を始めた。
正月だから息子の方が年老いた父親を好きな釣りに連れてきた、ということのようだ。なかなかできることではない。それなら釣れたらよかったがなあと思ったが、僕が着く前に釣っていたかも知れない。 いずれにせよこの防波堤は僕の貸し切りになった。親子連れのいた場所はメバルのたまるポイントだ。すぐにそこへキャスト。 数投で小さなメバルが釣れた。満足はできない。しかしそのあと反応が続かなかった。
防波堤を行ったり来たり。もうここで粘るしかない。
まずは初釣り終了。今年のスタートに花束を。
一年前の連続ヒットはよほどメバルの活性が高かったのか?
やはり何度も投げるとメバルはフライにはスレる。 ふと思い立ち、この日用意してきたファジーウィングのフライをヘロンのフライと替えてドロッパーにつけてみた。リードは最初のままヘロンでいく。 ドロッパーシステムでふたつのフライを違うパターンにするのは初めてだった。 一投目、リトリーブするとすぐに重たい引きが伝わってきた。 ![]() ![]() ![]() ![]()
リードとドロッパーの組み合わせをこれにしたら・・。
波打ち際ランチはサッポロ一番みそラーメンで。
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「んっ!」
「あ、ありがとうございます!」 この島の神社に来た僕に唐突に花をくれた女の子は走って参道の奥へ行ってしまった。僕はそのあとをゆっくり神社の本殿まで歩いた。 女の子は本殿の横で座ってほかの人たちがお参りするのを見ていた。 僕も花を片手に持ちお参りした。 防波堤ではメバルのあとアナハゼがかかり、数回のいい引きもあったがそれはバレた。決して物足りなくなんてない。僕は自分の中で次の釣りへ意欲が生まれるのを感じた。 ![]() |