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F.F.雑感
其ノ五百三十三 島のチヌを追う
台風の後の前線の停滞による長雨が、また被害をもたらした。
さらに雨は続き、僕は台風翌日のフラットとその次の日の渓流以降の盆連休は、大人しく家にいるしかなかった。 その間に読みかけや新たに買った本を続けて読み耽った。当然読みながらでも次の週末の釣りのプランも練るのだが、釣り仲間の情報で、渓流エリアは土砂崩れで道が通行止めになっていると知った。 おそらく河口フラットも、上流からの濁り水がひどいのは想像がついていた。 メバル釣りで何度も訪れている七つの橋の島。その四番目の島で偶然チヌが入ってくる港を見つけ、メバルを釣るついでにやってみたことがある。干潮で狙うからメバルを釣るのと逆の潮なので、両方できる算段だった。
今更だが、メバルのついででやろうなんていう釣り方や心構えじゃ、釣れなくて当然だった。もちろん今は経験値を積んだことや色んな人にアドバイスをもらったこともあって、まずまず釣れるようになってきて、今に至る。 この日、最初は二番目の島、以前KSさんとあたりをつけた島をのぞいてみたが、チヌの気配はなかったので、四番目の島にやってきた。漁港は細長く湾から奥に入り込んでいる。その横にコンクリートの道がついていてそこをたどってチヌを探した。するとすぐに1匹見つけられた。岸際をゆっくり泳いでいる。底の何かをついばんでいるようだ。
雨が続いたので連続で読了。初のラノベも読みました(*^^*)
潮が上がり始めた頃、あたりが少し暗くなった。日没だ。
目を凝らすと深いゾーンにチヌが数匹見える。入ってくるにはきたが、深いところでカニを引いてどうだろう。 そう思いながらキャスト・リトリーブを繰り返すが甘噛みもない。 徐々にチヌの数が増えてきた。フライには全く反応しない。ここがフラットでさえあれば。 ふと見ると、岸ギリギリの浅場に引き波。僕はすかさずキャストした。散ったようには見えない。 リトリーブした途端、水面を銀色が割ってロッドを曲げた。 島に着くと思った以上に潮が早く引いていた。干潮までまだ1時間以上ある。
この港は去年KSさんとメバルを釣りに来た時に、チヌが釣れそうだとあたりをつけた場所だった。 防波堤の一段高いところから湾内を見渡すが、1匹の魚影も見当たらない。勝手にうじゃうじゃいることを想像していたが、そんな甘くないのもわかっていた。 渓流も河口もダメだから、僕は望みを島に託してきた。島のチヌ、狙ったことも過去にはあった。
満ち上がり始めは日没。島もゆっくり暮れていく。
何度かククッと反応があった。引き切ってフライを見ると小枝が引っ掛かっている。またキャスト。引くとククッ。今度は枝やゴミは引っ掛かっていない。チヌだったんだろうか? 何度か魚影も見えたがすぐに深場に消えていった。そして干潮になり、魚影は全く見えなくなった。
どうしようか? せっかく島までやってきたのに。ほかが釣りにならないから島に来たという狙いは悪くなかった。しかし過去に島でチヌを釣ったことはない。チヌを見かけたことはあっても、河口フラットのメソッドが島でも通用するかわからないし、現にカニフライを底引きできる遠浅のポイントもほとんどない。釣れる可能性が低すぎる釣行だったかもしれない。 ただ、釣り場の新規開拓とはこういうものであるだろうとも思う。何度も足を運ばないとわかってこない。最初の二番目の島もタイミングを変えればチヌはわんさかいたかもしれない。
人通りもないひなびた(失礼(^^;))漁港。
ひなびた(失礼(^^;))漁港のこんな奥までチヌは入ってくる。
ここではオリーブ系のカニが好評。
そのチヌの進行方向少し先へキャスト。フライが着水してもチヌは逃げなかった。ゆっくり引く。しかしチヌはそのまま奥へ進んだ。僕は追いかけてその先へまたキャスト。だがチヌは反応しない。
結局チヌは深い方へ消えていった。残念だがこれでチヌがいることがわかった。 湾沿いに歩いて魚影を探し、時折キャストして引いてみる。岸から離れるとすぐに深くなっているから、いつものフラットのようには探れない。岸に近いところを沿って引くだけだ。 |