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F.F.雑感
其ノ五百二十九 チヌの夏に灼かれて
6月にフラットへ行った時も30度は超えていた。だがこの日の30度越えは6月のとは違う。
最高気温がさらに上回るのは間違いないが、熱中症の注意喚起もしきりにニュースでやっている。 僕は凍らせたペットボトルに塩飴、ゼリーの携帯食料をバッグに詰め込んだ。僕としては珍しく有給休暇をとっての平日釣行だ。 中潮なので、潮位差はほどほど。干潟が露出し始めの頃にフラットに着いた。大潮の時とは様子が違い、川の流れと下げ潮が合わさり勢いよく流れていた。 これだけ寄らないのだからエイだ。なんとかしないと時間の大ロスになる。僕は少し強引にリールを巻いた。するとユラッと魚影が光った。(光った?)エイなら光らない。そして魚体がしっかり見えた。チヌに間違いなかった。
また走られ、リールからラインが出た。チヌだった。今までに釣ったことのないサイズなのは確実だ。バラしたくはないが、強引に寄せていいものかどうか? ティペットは切れないと思うがフライの刺さっているところが強く寄せると身切れしたりしないのだろうか? いつまでもこうしてはいられない。僕はやや強めにロッドをあおりリールを巻いた。少しづつ寄ってくる。また走ろうとするがドラグを少し締め込んだ。ようやく魚体が全部見えるところまで寄せてきた。浅いところに引き込もうとするとまたあらがったが、そのままずり上げた。 デブっとしてる、というのがまじまじと見た最初の感想だった。よくバレなかった。フックは唇をまたがず厚みの真ん中に刺さっていた。チヌは見るからに老齢で長いファイトですっかりグロッキーだったが、深みまで連れて行くとなんとか泳ぎ出した。
過去最大、47cmがしょっぱなに(^^;)。
難攻不落の河口のチヌを狙って(^^;) 撮影KSさん
川が海に注ぎ込むあたりを僕とKSさんは歩いて様子を見た。
徐々に潮が満ちてきている。僕は河口に広がった砂地の途切れる辺りで海面が盛り上がり動いているのに気がついた。チヌが入ってきている。 僕は入り始めたチヌの近くへキャストした。チヌがフライの辺りへ進んだ。食った? のか? ググッときた。食った。僕はドラグを締め込み強めに寄せた。そしてKSさんにチヌが入ってきたことを知らせた。 強い日差しがジリっと僕たちを灼いているのがわかった。 魚影は見つけられず、探っても気配はないまま時間が過ぎていく。
僕はペットボトルの水を飲もうと取り出すと、氷がわずかしか解けていなかった。 海からの風もあり警戒するほどの暑さではない。もとより干潟フラットは町中より気温は低いはず。 流れと緩流帯の境目あたりにキャスト。ラインを手繰ると途中で止まった。過去にあった、引っかかったと思ったら魚だった、のパターンか?と思った。
同じ日の45cm。こいつもかなりのファイターでした。
二日後、僕はKSさんと西の川の河口へ向かった。約束していたKSさんとのチヌ釣りはなかなか実現せず、ようやく良い潮で狙っていた場所に行く運びとなった。何度か来たことのある場所だ。この日は二日前の中潮と違い、大潮だ。到着してすぐに下げ潮で狙ったが、そのタイミングでは釣れなかった。チヌは見える。干潮後の満ち上がりに期待するしかない。
一度車に戻り、ひと休み。KSさんと昼飯のパンをかじりながらあれこれ話をした。
この川のカニの色に合わせました。
やはり、町中にいるよりは気温は3度は低そうだ。
G-Loomis GLX についに入魂。
動かない。本当に動かない。こりゃ完全に引っかかっとるわ。僕はロッドとラインを真っ直ぐにしてじわっと引っ張った。
グググっと動いた。(魚?)僕はまだ疑いながらロッドを立てラインを巻き取った。 グググっとまた動いた。間違いない、掛かっている。リールを巻くが、なんとも重い。何回転か巻くとそれ以上をずずずっと引き出される。ドラグを調整しつつまた巻き取る、引き出される。 それを何度か繰り返すうち、僕は掛かっているのはエイではないかと思い始めた。 KSさんはこちらのエリアに単身赴任できている人だ。少し前にこちらを引き上げて地元に帰るのだと聞いていた。
一緒に釣りに行き始めてから九ヶ月くらいしか経っていなかったのに、もうお別れかー? と、僕は悲観に暮れたが、仕事でちょくちょくこちら方面には来るらしいとわかったのでホッとした。 一旦は七月末で帰られるので、このチヌ釣りがKSさんの地元へ帰る前の最後の釣りという事になる。 干潮が過ぎた。そろそろ満ち上がり始める頃だ。
ここでもまずまずのチヌさんがいらっしゃいました。
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