2021 釣乃記
第拾漆話  源流に消えたゴギ
目まといが来ない。僕はその効果に驚いた。知り合いが自作おにやんま君の効果を投稿していたので僕もなんとかしようと思っていたところだったが、KSさんの持ってきた高濃度ハッカスプレーの威力は絶大だった。
蜘蛛の巣もない。標高が高く汗もかかない。環境的には快適だ。あとはゴギさえ釣れれば。

ペタッとした浅いたまりの手前側でフライが消えた。ゴギが掛かった。僕は少しホッとした。
少し大きめの滝を過ぎた。すると少し様子が変わった。ゴギは僕とKSさんの二匹からあとは釣れないままだった。代わりにアブラハヤが猛アタックしてくる。ゴギがいそうなポイントはほとんどアブラハヤの独壇場だ。釣ってはフライを洗ってリフレッシュ、が繰り返される。そしてゴギはパッタリと釣れなくなった。まるでこの川から全てのゴギが消えてしまったかのようだ。

入渓してから3時間くらい経った。まだ時刻は早いがKSさんにどうするか聞いてみた。この川を諦めてほかへ行くか? その場合は出遅れた分、他の釣り師に先行されている可能性は高い。あるいはこのまま上流を目指すか。
「せっかく来たんだからもう少し上がってみましょう」とKSさんは言った。そうだよな〜。入渓場所までも苦労して歩いたんだし、源流のゴギは気分屋なのは承知の上で来たんだった。
バシャっとフライに出た。またアブラハヤか、と引き寄せると小さいがゴギだった。「ここから釣れ始めたらいいね」とKSさん。ホント、そう願う。
警戒モードの道の駅ニャンコ先生(^^;)。
奥の方が明るい。最上流部が近い。
僕のこの川での過去の釣りでもこんなに釣れることはなかった。
突然目の前に滝が現れた。滝の存在を忘れていたが、なんとなく思い出した。
滝下で僕がゴギを釣ったあと、KSさんが滝上に上がった。僕が遅れて上がると、「全く魚の気配がなくなった」とKSさんが言った。魚止めの滝・・・。
本当にこの先にゴギはいないのだろうか? 川を下って帰る所要時間を考えると引き返す頃合いだ。
僕たちはさらに先の最上流部に思いを馳せながら、帰路についた。



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KSさんとのチヌ釣りはなかなか実現しない。この週末も数日前の短時間の雷雨で濁りが入り、元から潮も悪いので断念した。
じゃあどうするか? と、週末前恒例になったKSさんとのメッセージアプリの音声会議(^^;。
「ゴギに行きませんか?」
「行きましょう」 即決だった。
僕が頭に浮かんだ川は支流の源流域。そこへは僕の車は無理なのでKSさんに出してもらった。
とは言えKSさんの車も限界があり、川沿いの林道の入れるギリギリまで進んで、そこから歩いた。
緑の中に溶け込む山道を探しながら、下山(^^;)
最初のゴギさん。このあと、あんなことに・・・。
二人とも一匹づつ手にしているがそのあとがこんな状況じゃ冴えない。もう他の川へ行く時間はないしそういう気にもなれない。ここで釣り通すしかない。

いい感じの溜まり、気をつけないとまたアブラハヤに食われる。フライを落とすとバサッと出た。ゴギに間違いない。僕はKSさんを振り返って笑った。
次の溜まりでKSさんもヒット。前半の僕たちの二匹より小型だが、ロッドがよく曲がっていた。
こんな溜まりなら固いです。
源流のまだ序の口(^^;) でキャストするKSさん。
カエル先生も涼しい渓にご満悦。 
小一時間林道を歩いた。道はかなり荒れていて強者4WDでもないと入れない状況だった。つまり先行者はいないはず。
入渓場所に到着し僕たちはようやく釣りを始められたが、それからしばらくは釣れないままだった。
そして僕が中の小くらいのゴギを釣ったあと、KSさんが中の大(?)の良型ゴギを手にした。
ホッとしたあと、やられたーっと思ったが、二人が釣れるのが一番いい。
先の流程は長い。僕たちはかなり期待が膨らんでいた。
また僕の番、少し広めの落ち込み下で出た。空振り。立ち位置変えて流すレーンもずらして投げる。出た。口に当たって掛からず。
一番奥に投げるとまた出た。掛かったが外れてしまった。ここだけで三回、失敗よりもゴギの活性が感じられて僕は気持ちが昂った。
KSさんに伝え、KSさんがその先ですぐに釣った。
なんなんだ、急に。KSさんが言ったことが本当になった。
水量がある溜まりには間違いなくゴギがいた。流れでも少し水深があれば出てくる。
おそらく最上流部に生息するゴギさん。