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2021 釣乃記
第拾肆話 食う寝る釣る を追い求め
途中の瀬戸内海へ注ぐ大きい川はかなりの増水だった。
(これは支流に入ってもきびしいかも)と僕は思ったが、それでも釣りになる場所はいくつかある。 峠を越え、日本海へ注ぐ川沿いに走り始めた。水はそんなに多くない。峠の山塊を境に降水量がだいぶ違ったようだ。 僕は一転、安堵して目当ての流れに向かった。多少は増水しているだろうから、それは願ってもない。魚たちの活性が上がっているのを思い描き、僕はもう良型を手にした気になっていた。 この日の流れは全体的にアマゴが増水で一度避難してから、元の付き場に戻りきっていない印象だ。微妙な増水加減が水面の捕食の障害になっているようにも見える。もう一日ちあとならベストだったかもしれない。
本命ポイントに到着。水は多いがポイントは消えていない。チェストハイでギリギリの深さを歩いて近づく。いつもアマゴが着いているポイントはさすがに波高い。手前の緩流帯との境目あたりにフライを落とす。出た。小さい。 すぐに寄せて下流側へリリース。今度は遠慮せず核心部へ。フライが波で大きく上下しながら流れる。出ない。二度三度、いいところを流れていると思うのだが、出ない。反対岸の緩いスポットへ投げた。カワムツが溜まっているかもと思ったら出た。アマゴっぽい。ロッドをあおるとプッという手応え。(切れた!)ここで合わせ切れか。がっくりきた。何度もキャストして結び目が弱っていたのかもしれない。チェックとチェックのその間でこういうことが起こる。ちょっと集中力が切れていた。
のび〜の道の駅ニャンコ先生。
もぐもぐタイムは豪華なチキンラーメン(^^;)
二段になっている小プール。一段目はカワムツのみだった。
二段目に投げる直前、糸がありえないぐらいに絡まった。ティペットをしっかりやりかえて、更に一息ついた。 上の木の枝に気をつけながらキャスト。ぽっかり浮いたCDCフライに魚体がのさっとかぶさった。 合わせる。手応えが伝わる。魚体が更に水面に現れる。流れに乗って重さがロッドを曲げる。 全てが現実から少しゆっくりと過ぎていくが、僕は先程の昼寝で見た夢ではないと、わかっていた。 ちょうどいい増水加減をイメージして川に降りた僕は一瞬固まった。(お、多い)
峠を越えてからのこの水系の本線は大したことなかったのに、この支流はかなり増水している。目的のポイントまで通して上がれるだろうか? 途中にある有望ポイントも流れが荒れて消えているかもしれない。 岸は春に比べアシが青々と伸びている。そこをかき分け上流へ向かった。途中のポイントではチビアマゴがかろうじて出てくれた。まだ魚たちは落ち着かない感じだ。
増水に洗われた美形アマゴさん。
川から上がると話をしたことのある農家の人がいて、きれいなアマゴが釣れたと報告をした。
このあたりは筍の季節が終わり、猪が田んぼや畑を荒らし始める季節らしい。 車まで戻る途中、少し疲れを感じた。早起きの寝不足と増水遡行が重なってなかなかキツい釣行だ。 昼はとっくにまわっていたので、まずは昼飯。アルストでゆっくり湯を沸かしインスタント麺を作った。昼飯に時間をかけるのも贅沢な過ごし方だと思った。
デカワムツです。過去最大(^^;)
結局今シーズン一番の増水でした(^^;)
ぐちゃぐちゃのCDCが良いみたい。
狙っていたのは五月にバラしたポイント。大物かそれとも鯉だったか、僕自身もはっきりわからないままだ。
その場所にたどり着く前、平水なら素通りするポイントがいい感じになっていたので、投げてみたらバサッと出た。 合わすと掛かった。やったと思ったらバレてしまった。いいサイズだったのに。油断していた。 そのすぐ先でまた出た。今度はなんとかキャッチ。バラしたのよりやや小さいがそれでも綺麗なアマゴだった。 食べたら寝る。本当に本能の赴くままだな。しかし、ソフトクーラーバッグを枕にして横になったら数秒で意識が遠のく。
きっと数秒か十数秒しか眠っていないんだろうけど、外でうたた寝するのがなんとも気持ちいい。 もう一箇所、増水で期待しているポイントを巡ってみる気になった。毎年入っているが、良い型はバラしたり掛け損なったりばかりでキャッチしたことがない。 しかし良い型の付き場であることは間違いない。
夢は見たような見なかったような。
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