2021 釣乃記
第拾捌話  その釣りの続きは夢で
前の日にキビレの良い釣りができていたので、良いイメージのままゆっくりすればいいものを、会社の連休の後半が雨で潰れそうだとわかっていたから、翌日も釣りに出かけてきた。
キビレのフラット同様、少し前の台風の影響が確実な渓流。そんな増水時に良くなるポイントへ。
前日の泥にハマる干潟歩きの疲れはあまり感じない。この日は増水で太い流れを遡ると言う、これもキツい川歩きが待っていた。
渓流は前回から三週間半ぶりの釣行となる。
わかっている。もう出ない。それでも僕は何度もキャストし直した。あー・・・、やってしまったな〜。
数週間前にここで良型を掛け、手前まで寄せながらバラしてしまっていた。今回はその時の失敗どころか、やりとりの土俵にも上がれなかった。僕は諦めて上流へ向かうが、増水で流れが激しい。この先にある古い堰堤のポイントが増水でひょっとしたらと僅かに期待は持っている。
それにしてもさっきはアプローチが安易すぎたというか、もっと慎重に丁寧にやるべきだった。いつもあとで後悔する。後悔じゃなくて反省しろよ。
古い堰堤の場所は出てもおかしくないと思ったが、出ない。今はなんとか釣りになりそうな水位だが、あまりにも増水がひどくそれがちょっと落ちたすぐのタイミングだから、まだ避難した魚たちが戻りきっていない? そんな感じだった。
増水時専門ポイントはベストの水位!?
久しぶりのもぐもぐタイムは出前一丁をアルストで。
目的のポイントは釣り不可能の数歩手前のいい水位だった。
僕はいきなり緊張した。もしここで釣れなかったら他はどこも増水で釣りにならず、釣れるポイントのあてがあまりない。しくじりは許されない。
流心を挟んで右岸の岸ギリギリを狙う。増水時のいつものやり方。キャストすると届かない。と、ぴちゃっと出た。小さい、合わさずそのまま流す。
次のキャスト、いいところに落ちた。と、ボソッと出た。合わす。空振り! やってしまった。
やっぱ水は多いです。どう見ても。
結局移動しながらそこそこ釣りはした。長く釣り上がることはできなかったが、荒れた流れの中になんとかポイントが成立してそうな場所は探せばあるもんだ。
ただ魚たちは避難所から戻っていないのは確かだろう。出ても良さそうな場所で出てこなかった。
なんか・・・、腹減ったな。

首尾良く最初のポイントで良型が釣れたら、気兼ねなく昼飯にしようと思っていた。
思惑は外れたが、こう言うこともあるか。
サイズの割には尾鰭が立派です。将来有望。
少し下流へ戻って釣りができそうな場所を探すことにした。
ピンポイントでならできそうな場所はないことはない。車を停めて川に降りてキャストしてまた車に戻る。を繰り返す。
何度か反応はあったが、やはりうまくフッキングしない。増水時によくある水面の食い損ないだ。
それでも何匹かは釣ったが、満足できるサイズではない。あと一ヶ所、僕は増水時の数少ないあてのラストのポイントへ向かった。
そして、そこも反応はなかった。
車で帰る方向へ移動しつつ、手頃な河原で昼飯にした。陰はないが曇っているから暑くはない。
久しぶりにアルコールストーブで袋麺を作った。去年は袋麺に加えてカレーも作ったりした。今思えばよくやったわ。きっとその日はいいヤマメを釣ったんだろう。
増水の流れを歩いたせいか、だいぶバテた。こうなると当然食べたら寝る。すぐにうとうとしかかったが、ぽつりと雨粒が顔にかかったのがわかった。
でも僕は気にせずスッと眠りに落ちていった。



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せめて夢で満足のいく釣りを・・・(^^;)。