F.F.雑感
其ノ五百三十九  暮れるフラット  
九月初旬にチヌを釣った後、今年のチヌを、釣って終わるためにどのタイミングで終わろうかという考えがチラッと頭をよぎった。
そうは言ってもまだ九月初旬だからと、その後も僕は時間と潮をみては、市内の河口や島や西の川へちょくちょく出かけていた。
潮が関係するから必ず週末という訳ではなく、仕事の調整がつく限り平日も行ったりした。
その回数、ちょっと数えるのがこわい。なぜなら九月初旬にチヌを釣った以降の釣りは、見事に全てボウズだからだ。
もう今年はやめておこうと何度も思うのだが、潮のいい時に時間が取れそうならやっぱり行ってみるかという気になってしまう。
この週末は中潮で干潮が日没だが、その手前の下げ潮の釣りはできる。そして結局僕はまた市内河口フラットに立った。
潮位の高いうちから入り、まだ水没している干潟エリアを流しながら下流へ下った。
もっと潮が引いているときは水際のポイントに、今はたっぷり水がある。そこでいきなり水面が弾け魚がジャンプした。
チヌを求めて東へ西へ。ああ、忙しや(^^;)。
五月下旬に今年一匹目を釣ってから、途中何度か釣れない時もあったが、総じてコンスタントに釣れていた。
七月の45cmオーバーを一日で二匹釣った日は、その日の写真を見返すとまだ小さめのやつも何匹か釣っていた(忘れていた)。
そんな釣果が続くと調子に乗るなと言う方が無理な話で、畳み掛けるように七月から八月、そして九月初旬と釣り続けた。
思えば去年は満足サイズは二匹しか釣っていないから、我ながらよく釣るようになったもんだ。
ひと月ぶりの魚の反応は、子まごっつぁんでしたか(^^;)
釣れないひと月の間に、夏にKSさんと行った西の川にも再び行ってみた。夏の時は運よく二匹のチヌが釣れた。満ち上がりで入ってきた最初のチヌたち、おそらくやる気満々の群れだったのだろう。
そのイメージを頭に描きながらの二度目の西の川。河口は満ち上がる前から魚影があった。新たに入ってくるチヌも見えた。しかしいくら投げても全く相手にされなかった。そのあとも粘ったが最初の満ち上がりで入ってきたやる気があるであろうチヌたちに口を使わせられなかった時点で、ダメだったろう。
メバルを釣る島でもピンシャンのチヌを釣っていたので、その島にもまた出掛けた。チャンスはあったがものにできなかった。別の島にも行って、チヌの集まる場所は見つけることができたが、季節がらエギングの釣り人が多く、思うようにチヌを狙って釣ることができなかった。
新しめのハミあとは数多い。やる気のあるチヌはいるはず。
G.Loomis GLX くんとHARDY のリールくん、今年はおせわになりました。
ハミあとを空に映したかのような千切れ雲。 
そして九月初旬のチヌのあと、急にぱったり釣れなくなった。もとよりあの真夏の暑い日よりは釣れにくくなるとわかっていたが、九月中にあと一匹くらいは釣れるだろうから、それを今年のフラットの最後にしようと思って釣りに行き続けた。
それが見事に一匹も釣れないとは。掛かってすぐ外れたり切れたりと言うのはあった。これは運がなかった。甘噛みもあった。しかししっかりくわえるまでには至らなかった。チヌの姿や引き波やもじった波は毎回見えている。決してチヌのいない場所でロッドを振っている訳ではなかった。
チヌはいるが夏ほど容易にフライをくわえない。見ていると底をはんでいる様子もあるから、やはりカニの類を探しているんだと思う。暑い時期の方が、カニっぽいが怪しげなやつにも興味を示す積極性があり、涼しくなるとそれが薄れるのだろうか。
その魚はどう見てもヒラメだった。後で知ったがヒラメは底より中層で釣れるし、ベイトを追って水面に出ることがあるらしい。
僕はそうと知らずにひょっとしたらとベイトフライに変えて投げたが、反応はなかった。
カニフライに戻し日没が近づいた時ロッドがぶるぶる震え出した。手繰ると小さなマゴチが掛かっていた。ひと月ぶりの魚だった。

久しぶりに少し賑やかな釣りだ。日が暮れたが、僕は薄暗くなったフラットでキャストを繰り返した。
干潮が日没って、なんだか物悲しくていかんな〜(>▽<;)