F.F.雑感
其ノ五百四十三  ゆっくり始まるメバル
海を見ると複雑に幾方向もの潮流が絡み合ったようなうねりが起こっていた。
(あら〜、こりゃ時合いの真っ最中じゃないかっ!)
僕は大慌てでロッドを継ぎラインを通してフライを結んだ。また海を見ると潮の感じが変わっている。こんなにも目まぐるしく変わるものなのか。さすがは大潮。
ようやく準備完了し、僕は潮の流れの下流へキャストした。ラインに水流がかかり、魚が掛かっているかのように重い。
と、ガツーンっとロッドに衝撃、そしてプッと軽くなった。
気づくと潮流が弱まっている。さっきまであれだけ複雑に激しい流れだったのに。潮流が落ち着き、僕も気持ちが落ち着いた。慌てて投げずにちょっと待って冷静になってから投げればよかった。さっきは1分くらい待っても潮流はまだ流れていただろう。
フライを結び直しているうちに、ほぼ潮流は止まった。満潮まで時間はあるから必ずまた流れ出す時がやってくる。
他に釣り人は先端方向にひと組、中間にひと組だ。ここの手前の港は賑わっていたが、ここは空いていて助かった。11月に入っての大潮を、きっとみんな待っていたんだろう。
しばらく座り込んで待っていたら意外にあっさり潮流が始まり出した。キャストしてリトリーブ、すぐにググッときた。小さい。外して海に戻しまたキャスト。ググッ、小さい。数匹釣って、また潮が緩くなりアタリもなくなった。見事に潮流とメバルの活性が連動している。
もぐもぐタイムにMSR初登場。ね、燃焼音がうるさい(^^;)
この日一番のメバル様もサイズ的にもうちょっと(^^;)
き、切れた〜。防波堤下部のえぐれの中に入り込まれた。ティペットがコンクリートの角に当たったか。この場所で何度もやっているティペット切れだ。

放流の翌週末、大潮だし11月に入ったし、もうメバルもよかろうと釣りの予定を立てた。
満潮が11時だったので、上げ七分くらいでも釣れるだろうと早起きはしなかった。で、いつもの七つの橋の島の四番目の島に着いた時には時合いの只中。もっとも早くに着いていたらやりたい場所に誰かが居た可能性はある。
防波堤垂直面からひらりと現れた島ニャンコ先生!
2人連れの若い人がエギングロッドを持って現れ、防波堤先端部へ向かって行った。
ふと気づくと僕の割と近くに別の人がいて、自分の真下に仕掛けを落とし、何やら狙っている。
最初からいた人たちも、コンクリートに座り込んでやっていたり、仲間同士で動画を取り合いながら釣っていたりと様々だ。
そういえば最近海でフライをやっているのを珍しがって声をかけてくる人が減った。ソルトのフライがメディアやネットで紹介され、釣りをする人の間で広く知られるようになったからかもしれない。
本日は赤メバルさんのみ。
潮流のストップ&ゴーが始まり、メバル様の活性オンオフも頻繁に。
どよんとした天気。釣り日和なのか? 
満潮になった。僕はこの港を諦め七番目の島まで移動した。
七番目の島の港の防波堤は6人ほとの釣り人が先端側を陣取っていた。僕のやりたいのは岸側なので空いている。
ここは四番目の島ほど潮流がはっきりしない。その分潮流を気にせず釣りができるが、魚の活性にもメリハリがないような感じだ。
数投でメバルが釣れたがやっぱり小さい。
この日は朝は冷えたが日中はいい天気になる予報だった。しかし七番目の島はどんより曇って気温もそんなに上がっていないようだ。
ゴンっときた。いきなりだった。ロッドでうまく誘導してこらえていると、水面に魚体が見えてきた。(これは、大きい!?)
そのまま引っ張り上げた。上げて近づくほどになんだかサイズが小さくなっていく。目の錯覚か。
実際に手にしたら、やっぱりあまり大きくない。良い引きしていたんだけどな〜。

四番目の島に着いてすぐの切られたやつ。あれがこの日のクライマックスだった。
ま、よくあることだ。
寒いようなそうでないような、そんな天気の一日。