F.F.雑感
其ノ五百四十九  寒波到来の島へ
この冬一番の寒気がやってきた。ニュースでは降雪や凍結の注意を呼びかけている。そして不要不急の外出は控えるようにと。
釣りは、不要不急の最たるものかもしれないなあと、僕はそう思いながら車を発進させた。車の外気温計は0度を示していた。

沿岸部から島にかけては積雪はないから、気をつけるのは凍結だ。
大潮の干潮が9時半ごろ。満ち上がりのいい時間帯をやるにはどうしても未明の道路や橋を通る必要があった。
まだ暗い道路は、それでもほかの車もそれなりに走っていて、凍結していたらわかるだろうと思っていた。橋も同様で、凍結していたらとっくに事故か何か起こってるだろうし、凍結しそうな場所は先手を打って凍結防止剤を巻いているはずだ。
そんなこんなで、無事に七つの橋の島の四番目の島の港に到着。僕のやりたい場所どころか、その防波堤には誰もいなかった。
着いてしまえばこっちのもの。低温だけでなく風も強い予報だが釣りが成立しさえすれば、この時期この場所で大潮という条件を揃えたんだから、満足のメバルを釣るのは固いと思っていた。
二週間前にここに来た時、大潮なのに潮流がないという状況に出くわしたが、今回は潮流はあった。早速下流側にキャスト、潮流の荷重がラインにかかる。僕は頭の中でメバルのアタックが明確にイメージできていた。
居付きの赤メバルさん。回遊してくるメバルさんを見ませんでした?(^^;)
極寒の朝を凌いだあとは、出前一丁だけが楽しみです(^^;)
ぐうーんっとロッドが絞り込まれる。きたきた。
僕はラインを手繰りバスケットに収めながら浮上してくる魚体を待った。
(見えたっ!)それは手応えで感じていたほど大きくなかった。パワーだけはあるな。
メバルをリリースし、またキャスト。潮流がゆるくなっている。ラインに荷重がかかってこない。
続いてまたアタリ。今度は最初から小さいとわかる引きだ。なんだか期待が大きすぎてこの状況を素直に受け入れられない。
この港でこの冬初のブルーバックメバルさん。これから・・ですよね?
寒さでかなり消耗して、すっかり腹も減ったので、四番目の島のいつも昼飯を食べる公園で、インスタントラーメンを作った。
熱いラーメンが腹に沁みる。凍えたこの日の朝のダメージもすっかり暖かくときほぐされた。

果たして今後は、メバル釣りの状況は良くなっていくのだろうか?
それとも環境の変化でだんだんと釣れなくなってしまうのだろうか?
まだあきらめたくないな、と思いながら僕はラーメンをすすった。
日が登ってきて、少し気温が上がった頃。
朝早かったし、やっぱり食べたら寝ます(>▽<;) 
さらにキャストを続けると、またグーっとロッドが曲がった。
(今度こそっ!)僕は慎重にラインを手繰り、魚を引き上げた。
悪くはないが、この場所での本来のサイズではない。いや、これから潮流とサイズアップが始まるはずだ。
しかし、そのメバルを最後にこの港ではメバルの反応は沈黙した。

その後、二箇所を巡ったが、反応はないままだった。
時間が経ち、少しだが気温が上がり始めた。