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話しは二ヶ月前にさかのぼる。
釣友のW氏といっしょに入ったとある谷。川沿いに道はある。かなりの上流部から入渓。渇水の中でのきびしい釣りだった。 「今日入ったところのもっと下流側はどうなんですかね?」と僕が聞くと、 「とんでもないところよ。下から入ったら、途中は道へは上がれん。上がれるところまでは行き着けんかもしれん。わしは途中を無理やりあがったが、これまたとんでもない急斜面よ」 W氏の言葉に僕は早々にその区間は頭から消し去る事にした。 「春のやつじゃ」 M川氏の落胆とも焦燥ともとれるつぶやきが聞こえた。 あっと僕は声を上げた。Yに見られたくない。見られたくなかったが声を出してしまった。 またタカハヤだ。今日何匹目だ? とてもコイツがいるポイントじゃない、一番いいところで釣れる。 息が詰まるような湿度の中、次のポイントへキャストする。またタカハヤがフライを突っつくのが見える。 渇水なのは間違いない。 それでもいくつかポイントはあるにはある。タカハヤに全域を占領されたなんてありえない。 Yは沈ませてみると言ったが、それも手だ。 ゴギがエサ取りに出てこない。落ち込みの川底にへばりついているに違いなかった。
渇水の谷へ。いや、ホンマ水ないわ〜。
M川氏がアブに手を刺されて腫れた話しを聞いていたので、アブには神経質になっていた。
「うわー」っと自分の声で驚いた。シャツの袖の上からアブにさされた。くそ〜。 アブにブヨにタカハヤ。この川にはいらんもんがたくさんいる。 M川氏もYも何匹かのゴギを釣った。だが満足できるサイズではなかったようだ。 かく言う僕はいまだにタカハヤのみ。内心かなり焦りがでてきていた。
釣り人にとって険しい谷はゴギにとっても住みにくいのか?
「どうするや?」とM川氏が聞いてきた。すかさずYが、川を行くしかないと言った。
しかし呆気なく三つ目の堰堤が見えてきた。ここから道へ上がれるはずだ。M川氏はまた海老根を探しに斜面に向かい、僕が堰堤下を攻めた。 先ほどと同じく一投目、ゆらりと魚影がフライの下に現れた。 Yが叫ぶ。もう一匹! 二匹がフライの下を泳ぐ。 一匹目が出た。フッキングし無事キャッチ。もう一匹はすかさずYが釣った。 入渓してから五時間が経っていた。
ようやく帰路につく。でもまだ終わらない。
三人の包囲網は、ゴギ一匹たりとも逃さない(!?)
M川氏が斜面から下りてきた。
夏海老根(えびね)を探しているのだ。春のものは見つけたようだが、M川氏の目当ては夏のそれだ。 スッと風が吹いた。気持ちいい風だ。しかしすぐに止んでしまう。すると途端に蒸し暑さが戻ってくる。 深いこの谷は湿気が溜まっているような感じだ。じっとりと汗が出てメガネも曇る。 持ってきた飲み物はあっさり飲みきってしまい、おにぎりとパンとソーセージももうない。 ・・・あとどれくらい歩くのか?
堰堤下のゴギ。結局ここか。
少しづつ陽が傾き、僕たちは谷から里に降り、東へ向かう川沿いを移動していた。
Yはもうウェーダーを脱いでいる。僕ももうこのあとの釣りに期待するものはなかった。 去年M川氏と最後に入った入渓点まできた。 「ちょっとやってみますか」と僕はM川氏に言ってみた。 声がする。川をのぞくと子供たちが泳いでいた。 夏海老根を見つけられなかったM川氏だが、子供たちの帰った流れでキャストして、幾分納得したようだった。
夏雲に向かってキャストするM川氏。
W氏をして、とんでもないところと言わしめる区間。この日僕たちはそこへ足を踏み入れた。
川自体は遡行をさえぎる険しい地形ということもなく順調に釣り進めるのだが、なにしろ途中で脱出するルートがない。川沿いの道は川から離れ、道は遥か上の方を通る。道から川をのぞくと緑の海に沈んでいるかのようだ。 W氏の話しだと入渓ポイントから三つ目の堰堤で高低差はあるものの道がなんとか接近する。そこで上がるしかない。 そもそもこの川を勧めたのはW氏だった。ここのところの晴れ続き、水位も下がりどこへ行っても釣果は期待できそうもなかった。僕は前の夜にW氏に電話し、最近のいくつかの川の情報を聞いた。 そして二ヶ月前、W氏と一緒に入った川の下流部、今いるこの川の話しが出たのだ。 こんな状況ならあそこしかない、と。
さすがにちょっとひと休み。どれくらい時間が経ったんだ?
堰堤はすでにひとつ越えていた。
ようやく二つ目の堰堤が見えてきて、堰堤下のプールを僕が攻める事になった。 一投目、すぐにゴギがきた。僕は大慌てで前に出てゴギを岸にずり上げた。 たいしたサイズではなかったがこればかりはどうしてもバラす訳にはいかなかった。 二つ目を越えて、また同じような渓相の流れを釣り上がった。 僕もM川氏もYもだんだん口数が少なくなってきていた。 ![]() ![]() ![]() ![]()
最初は神経質に気にしていたアブのこともいつの間にか忘れていた。後ろのM川氏とYがあきれているのがわかるくらいに僕にはゴギが釣れない。
渇水であることにはちがいないからダメそうな場所はどんどん飛ばしていいポイントだけを攻めた。 だから思いのほか遡行ペースは早くなっていった。 僕ばかり釣っていてもなんなので先頭を変わった。M川氏やYはなんなくゴギを釣る。 うむむ〜。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |