其ノ三百五十一  島の祭りの週末
警戒心ゼロの超大型ボラ。なにやらパクついてます。
前日の土曜日に飲み過ぎたので、こりゃ日曜は遅く起きてゴロゴロするパターンかなと思っていた。
ところが思いの他すっきり早く起きれたので、じゃあ出掛けるか。

一週間前はフェリーで島に渡ったが、今回は橋の架かっているいつもの島へ。
ロッドは持ち出さずカメラだけを持ってのぶらり旅。
時間が早めなので途中の渋滞もなくサクッと島に着いた。
気持ちのいい秋晴れだった。
櫂伝馬の勇壮な様子。
いつも車を停める港の空き地は満車状態だった。なにやら港の方にたくさんの幟が見える。祭りだ。
全く思いつきでやってきたので、この日この島で祭りがあるとは想定外だった。
でも賑やかなのはそれはそれで面白そうだ。僕は少し戻って別の漁港の空き地に車を停め、カメラバッグを肩にかけて歩いていつもの港へ向かった。
前日かなり飲み食いしたので、歩いて燃焼しなければならなかったから、おあつらえむきだ。
島の祭りはこの島の漁師町の大漁と海上安全を願う祭りだった。かつての水軍の小舟だったとされる櫂伝馬を操る勇ましい島の人たちの姿が圧巻だった。
いつもは静かな港が屋台や見物客で華やかに賑わっている。この島のニャンコ先生がいつも居る場所にも屋台が出ていた。これにはさすがのニャンコ先生もどこかへ雲隠れしているようで、姿は見えなかった。
僕自身、島の祭りはもしかしたら初めてだったかもしれない。そういえば、おととしの禁漁期間は山里の祭りの松明行列を撮ったり尾道や竹原の灯をテーマにした夜の祭りを撮ったりしたっけ。
二年ぶりの祭りということになる。僕は予想外に夢中になって櫂伝馬や祭りの様子を撮り歩いた。
華やかな櫂伝馬の漕ぎ手たち。
好天はよかったが、少し日に当たり過ぎて疲れた。島の路地に入れば陰が多い。
路地を歩くと不意にニャンコ先生が現れた。港の賑わいを避け逃げ込んでいらっしゃったんですね。
ふと時計を見るとまだ昼前だった。ずいぶん長く居るような気がしたがそんなものか。
祭りが終わるとまた静かな島に戻る。ニャンコ先生もいつもの港の落ち着く場所に戻れるだろう。
来週は大潮だ。今度はロッドを持ってこようか。
路地の奥を見るとさっきのニャンコ先生の姿は消えていた。
ニャンコ先生、祭りの賑わいなど意に介するでもなく。
海岸通りは屋台がひしめき合っていた。