其ノ四百二十一  小潮の島、凪いだ海
もうこうなったら確率の問題だ。三週連続の強風だなんてそうそうあるものではない、と自分に言い聞かせて出発した。
朝の冷え込みは思ったほどではなく、早い時間帯に渋滞しそうな所は通過したので、かなり余裕で七つの橋の島に到着した。
14時満潮の小潮のこの日、8時に着いたのでまだ干潮から少ししか経っていない。
そして風はほぼ無風だった。
ゴロタの海岸でもメバル様とっ!(^O^)/
満潮手前上げ七分くらいにファーストキャストなら、場荒れせずメバルもスレていない状態で、一番良い時間に攻める事が出来る。
が、その時間までまだ2時間以上はある。待ってられる訳がない。
僕は通常防波堤からキャストする四番目の島の中央港を、引き潮で露出している海岸側から狙ってみる事にした。
海岸からなら潮位が低くてもやりにくさは減る。
波が立っていない! こんな海を見るの、何週間ぶりか?
11ftロッド、初参戦。 釣行ランチはお気に入りのカップヌードルアラビアータ。
数投後、さっそくメバルの反応があった。潮位が低い時はメバルの活性が低い、という訳ではないのかも知れない。単に高い位置の防波堤からではうまく攻められていなかっただけなのかも。でも潮止まりよりは潮流のある方が、エサとなるものが流れてくる確率は高まるのもあるだろうし、そこは状況に応じての攻め方になるだろうなあ。
パタパタっと数匹のメバルを釣り、今度は防波堤に戻ってキャストしてみた。少し潮位は上がってきている。それになにより風がないのが楽で良い。ちゃんと釣りが成立している実感がある。
潮が上がってきて数人の釣り人がやってきた。防波堤を自由に行き来できなくなったが、それは仕方ない。少し離れた横に入った釣り師はすぐに鯛を釣り上げた。いつだったか鯛がつがいで表層に浮いているのに出くわした事がある。キャストしても反応しなかったが、いつか鯛をフライで釣ってみたいなあ。
そろそろ上げ七分、ほぼワンキャストワンヒットになってきた。
ここ数年でのソルトのメソッドの確立、そして風のなさでこの日の釣れるイメージはできあがっていた。
ここのところ良く思うのだが、以前は釣れない釣行もたくさんあった。釣れずに帰る不甲斐なさも徐々に慣れっこになっていた。
だから一匹釣れたら御の字で、それで満足して帰れた。
そして始まったアナハゼ祭り(>▽<)
ところがだんだん釣れるようになってきたのだが、そうなってくるともう少し良いサイズが釣りたいと、現状の釣果では満足しなくなる。人間はなんとも欲深いいきものだ。

その後も粘るが、いきなりドスンと重たい手応えが帰ってきた。アナハゼだった。
「君じゃないんだよなあ」とリリース。しかし、その後何かにとり憑かれたかのようにアナハゼが釣れ始めた。
昼を回り、気温は明らかに下がってきた。
満潮になった。ゆるく潮流は定まらない流れを続けている。ふと、6月の日中の良型メバルが満潮に釣れたのを思い出した。
何となく思っていたが、潮流が激しいとラインが引きずられてフライは深く沈まない。潮流がないとスムーズに沈下するのではないか?
キャストしカウントダウン。深い層にいる良型メバルがフライに食いつくイメージ。
そしてイメージ通りの引きがロッドに伝わってきた。
欲深い僕の期待に応えてくれたメバル様(*^^*)