其ノ四百十  ちゃんとした残暑の島
日曜日だから釣り人の多さは予想していたが、実際には予想を軽く上回っていた。
防波堤にずらりと並んだ釣り人達。子供連れも多い。これはムリだな。僕はその港には寄らずに別の港を目指した。
まだ朝7時過ぎだが、みんな熱心だ。というか、暑くなる前の涼しい朝のうちにと思ってだろう。確かに秋の気配のする朝の島は快適だった。
中潮のこの日、ちょうど今が満潮になった頃のはずだ。
久々のアナハゼ様。エメラルドグリーンに磨きをかけて。
九月に入り、僕はもうなんの躊躇もなく島へ向かった。
市内から近い、去年カマスを釣った島だった。しかしカマスの港にはあぶれ、次の港に着くと三人くらいしか釣り人がいない。釣り人がいない=釣れない、と単純ではないだろうけど、やや期待薄か。

なんの躊躇もなく、というのは、以前だったら渓流禁漁後の余韻に浸るというか、ソルト始動まで多少間があった。
みるみる日が昇り、朝の秋から昼の夏へ(^^;
でもそれも年々早まってきていて、三年前から九月にはソルトに行っていた。しかし釣果は去年九月の月末にチビカマスを一匹釣ったのみ。九月にメバルは釣った事はなかった。
前回八月のソルト初釣果を上げているので、九月に行く事自体には躊躇はない訳だが、そうは言ってもむつかしい条件であることには違いない。もう少し早く来て、満潮前の上げ七分くらいからやった方が可能性は高かったかも知れない。
あぶれて辿り着いた港はしんと静まり返っていた。ここでも過去にメバルは釣った事はあるが、もっと寒くなってからだった。どうも苦手意識のある港だ。
キャストし、リトリーブしながら探っていく。コツリともしない。七つの橋の島と同じメソッドではダメのようだ。
僕の居る防波堤の向かい側にも防波堤がある。そちらに移動してみた。ここにも数名の釣り人。防波堤外海側でキャスト。引っ張るとすぐにアタリがあった。
(こりゃこっちがいいじゃないか!)僕はかなりダレかけていたが、一気に元気を取り戻した。
二投目、ぐいっと引きが強まった。九月の初メバルが掛かった。そのすぐあとには久々のアナハゼも。
なんとか釣れてくれたメバル様。でも紙一重だな〜(^^;)
すっかり日が高くなり、またアタリが遠のいた。暑さも真夏並みで、日差しがじりじりと地表を焦がし始めている。

僕は紙一重の一匹を釣って帰ることにしたが、途中で最初のあぶれた港に寄ってみた。
相変わらず人は多いが少しロッドを振ってみた。すると横の釣り人が次々とチヌを釣り上げるのに遭遇した。
ちょっとぉ〜、そういうの目に毒なんですけど〜。
島から見る僕の町。絶対暑いわ(>▽<;)

上げたビクから鯛が飛び出していた。
(なんじゃ、ありゃあ!?)
さっきから続けざまに鯛を釣り上げる釣り師。また目に毒なものが。しかしこの人、かなりのやり手だなー。
おそらく去年もこの七つの橋の四番目の島でよく見かけた釣り師だ。
僕は溜息をついた。先週、釣りの帰り際に寄った港でチヌの連続ヒットを間近で見せつけられ、その次の週末に僕はまた島に渡ったのだが。
七つの橋の島でも九月のメバル様。ありがとうございます(*^^*)
鯛の釣り師に見とれているといきなりググッときた。
いかん、人の釣りを気にしている場合ではない。
っと、なんとバラしてしまった。これはひどい失態だ。
僕は自分のポイントに向き直り、キャストした。じわっと汗が出る。ここ数日涼しい日が続いていたが、週末にまた夏日となった。九月なんだから当然だけど。
またググッときた。ちゃんとしてよ、と水中のメバルが言っているに違いない。
空はすっかり秋めいて。しかし、しっかり暑いです(^^;)