其ノ四百十六  アフターファイブ 島釣行
台風の接近がこのHPに登場するのは、禁漁になってから二度目だ。
前回は18号、今回は21号。
今回も僕の住むあたりは直撃はまぬがれているが、雨量が多い。しかも雨量に関しては台風が発生する前からかなり降っていて、秋雨前線の停滞の影響で、もう長く陽射しを見ていないくらいだ。
Tgさんと釣りに行った時も雨にやられた。もっともあの時はのちに晴れたのだけど。
徐々に荒れる港。台風接近の影響か?
Tgさんとの釣りの翌週土曜日はHさんと島でランガンの予定にしていたが、天気がわるそうなので中止。結局崩れたのは日曜日になってからだった。
そして今週末の台風21号。土曜日からの雨で土日のカープCSも中止になってしまった。実はHさんともう一度約束したが、これも中止。
そういう経緯で中止を決めた金曜日、僕は会社終わりに島へ向かう事にした。
夜なので、少しボリューミーなフライを使いました。
日曜日に最接近、金曜日の夜だけが影響がないと読んで、苦手な夜釣りを承知での強行軍だった。会社終わりからの釣行は6月下旬に一回やっていた。
しかし道路渋滞状況は同じではなく、出発は同じくらいでも島到着は小一時間は遅くなってしまった。この日は22時満潮で、あと2時間くらい。上げ潮の潮流はそろそろ止まる頃だ。それでも夜なんだし、わざわざいつもの七つの橋の島の三番目まで来たのは、港の灯がかなり明るいとわかっていたからだ。防波堤や浮き桟橋は足場が広くてこわくないし。
アフターファイブと言いつつも、釣り開始は3時間後くらいになった。というか、アフターファイブももう死語か。長らく聞いた事のない言葉だった。今風で言うならプレミアムフライデー、とでも言う方がそれっぽいかも。
潮位はかなり高く、波はやや立っている。潮流は止まりつつあり、魚影は港の照明下で見る限り見あたらなかった。
釣り人は三番目の島の道路沿いにはこれでもかというくらいのエギングの人たちがいたが、港の防波堤には二人。わりと空いていたから助かる。
少しボリューミーなベイトパターンを結び、防波堤から港の護岸を行ったり来たりしながらキャストしてみた。
6月下旬の夜はメバルのライズもあったが今日はない。
アジ様降臨。おととし釣ったのよりはだいぶ良い型。
少し風が出てきた。海面が波立ち、それでなくても暗くて様子がわからないのに更に海の感じが掴めない。港の灯でぼんやり視認できるのはでっかいクラゲだけだった。雨が続く日々だったから海面はゴミが漂着していてラインが当たったら魚信と思ってしまう。ふと、前進後退をくりかえす白い物体が目に付いた。その泳ぎ方、イカだ。その辺りにフライを通してみるが見向きもされない。
しかしこうやってみると、昼間の釣りなら表層ではあるが、かなりの情報量がある。それを頼りに見えないところの魚の気配を探り探り釣りをしていたんだなあ。夜は暗くて見えない分、さらに気配を探る技法を習得していかないと、ますます難しいかも知れない。

急に来た。ぐいぐいハイスピードのその引きはメバルではない。派手に泳ぎ回って、水面に現れたのはアジだった。
まだ数匹が泳いでいるのが見えるが、せっかくだから写真を撮る。と、辺りは真っ暗(当たり前か)、ここが島なのかどうか、アジを撮っても港を撮ってもわかりゃしない。やっぱり風景が見えないと面白くない。
きっと僕はそういうところもあって夜釣りが馴染めないんだな。
僕はすでに次の昼間の釣りを想像しながら、真っ暗な海にアジを放した。
ほんじゃあCX-3くん、帰るとしますか。