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其ノ四百十二 日曜日の島の潮流 | ||||||||||||||||||||
昼の満潮までは少し間があった。それならいつもの四番目の島の中央防波堤ではなく、別の港でやってみよう。 久々に釣り場の新規開拓をする気になったのは、やはり暑さがひと段落したことが大きい。 手堅い場所でなくても釣れるのではないか、と思わせる気温だ。でもそれは海の中にどれだけ関係しているのか。 地上の人間だけが思っている事なのかも知れない。 |
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頂き物のコーヒーで乾杯っ!? | ||||||||||||||||||||
「お兄さん、ブラックコーヒーあげよう」と島のおばあちゃんが話しかけてきた。 「ありがとうございます!」僕はせっかくのご好意だから素直に受け取り、何度も頭を下げた。 しかしどうやら、僕が釣れていないから可哀想に思ってコーヒーをくれた気がしないでもない。ま、ありがたく頂きますけども。 初めての防波堤、中潮の上げ潮でもなかなか激しい潮流が起こっていた。 |
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フライは少しサイズアップ。新マテリアルも使って。 | ||||||||||||||||||||
突端では年配のご夫婦が釣りをしていた。奥さんのほうがいろいろしゃべりながらやっていて賑やかだ。 僕はいつもの極小フライ細ティペットで様子を探ってみた。上げ潮でもこれだけはっきりした潮流、向かいに三番目の島が見えている海峡だからこそだろう。魚信はないものの、見える範囲の海中の様子からしても、僕はこの防波堤はかなり期待できると思った。 突端の釣り人がなにか叫んだ。奥さんの方だ。ロッドをあおっても動かないようだ。旦那さんの方が根がかりじゃ、と言うのが聞こえた。と、また奥さんがなにか叫んで、リールを巻いた。なんとヒラメが掛かっていた。 奥さんは、ホラ見てみい、というようなことを言っている。やっぱり賑やかだが釣りが楽しそうでいい。 いきなりゴツゴツっときた。ロッドを溜めるように立て、防波堤の際から魚を引き離す。何度かティップが大きく曲がって、なかなかのファイトをする。そして水面近くにメバルの姿が見えてきた。 |
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久々に新たな釣り場の開拓ができた。ここはいつもいく港と互角の好ポイントかもしれない。あと何匹釣れるかだ。 僕はこの場所をもう少し探ってみようと思ったが、あとが続かなかった。 正午、満潮潮止まり。僕は先に来ていた夫婦が帰り支度を始めたのを機にいつもの中央防波堤に移動する事にした。 ここはまた来て攻め方を研究しよう。 |
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9月下旬でもメバル、釣れました。 | ||||||||||||||||||||
中央防波堤に着くとかなりの数の家族連れで賑わっているのが見えた。暑さも少し和らいでいるし、やっぱり日曜日はこうなるか。 少しやってみたが、子供が走り回っているしフライロッドを振るような雰囲気ではなかった。 三番目の島へ戻った。ここも防波堤や浮き桟橋に家族連れが何組もいた。でもまだスペースは十分空いている。 |
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満潮、日差しもきつくなり、暑さも戻ってきた。 | ||||||||||||||||||||
下げ潮は始まっていて、この島特有の激しい潮流が起こっていた。 一投目でチビだがメバルが釣れた。そのあと続けて釣れだした。少ししてすぐ近くに子供連れの家族がやってきたので、まだ続けて釣れそうだが僕は少し移動する事にした。 (今日は潮流と同じくらい釣り人でもにぎわうな) 僕は港を見渡してそう思い、昼前にばあちゃんにもらったコーヒーをベストから取り出して、ひと口飲んだ。 |
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釣り人たちが帰ったあとも、メバル様とひとときを。 | ||||||||||||||||||||