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其ノ四百十四 雨雲と満潮の手前で | |||||||||||||||||||||||
曇り後晴れの予報だったはずだが、予報にない雨雲が発生したようだ。まだかなり離れているが、島に届くところまでやって来るかも知れない。 穏やかな天気だ。しかしのんびりしていると、ボウズをくらう可能性もある。 僕とTgさんは次第に上がってくる海面にもせかされつつ、またロッドを振った。 Tgさんは着いてすぐに小さいながらメバルを釣っていた。 |
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本土はすっぽり雨雲に覆われて。 | |||||||||||||||||||||||
釣り具屋で久しぶりにTgさんと顔を合わせたのは一週間前のことだった。facebookで僕のソルトFFの投稿を見ていて、今度ぜひ連れていってくれと言う。 僕のよく行く七つの橋の島の本土側の町にTgさんは住んでいる。全然近くに住んでいながら、海では何年も釣りをしていないらしい。案外そういうものなのかも知れないなあ。 そして翌週、Tgさんの住む町にある、いつも有料の橋の通行券を買いに寄る釣り具屋で待ち合わせた。こうしてフライマンと行く初のソルトFF釣行とあいなった。ソルトでフライロッドを振るのは初体験のTgさんのため、僕のフライをいくつか進呈した。そのうちの一本でTgさんは三番目の島の港に着いて早々、メバルを釣り上げたのだった。 |
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風が強まり、少し寒くなりました。 | この日のタックル。Tgさん手製のバスケットも。 | ||||||||||||||||||||||
「最初の一匹のあとは見向きもせんなあ」とTgさん。 上げ七分、これからが良くなるかも知れない。場所替えも頭に浮かんだが、僕とTgさんはこのままこの港で粘ってみる事にした。 エギングの若い釣り人が二人やってきて、僕たちにあいさつをして防波堤の先に向かって行った。潮のタイミングからしても、これからが釣り人も増えてくるだろう。 水中ではかなりの数の魚が泳いでいるのは見えていた。 |
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バックキャストキャストで釣ったメバル様(^^;) | |||||||||||||||||||||||
Tgさんは頻繁にフライを変えている。シンキングラインに#6-7ロッドと、手作りのバスケット。装備にぬかりはない。しかしなかなか簡単にはいかないのがソルトFFだ(なんて、言ってる僕はまだ釣れていなかった(^^;))。 Tgさんが不意になにかを言った。スマホを見ている。どうやら雨雲が近づいている通知がきたようだ。やっぱりこっちに来たか。港から見えるはずの本土側は雲に覆われてほとんど見えない。僕もiPhoneで確認すると、あと三十分もしたらこの辺りも雨が降り出しそうだ。 風が強まってきた。タイムアップまであと少しとなってしまった。 |
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若いエギングの二人は帰りますと言って港をあとにした。 二人を見送りつつ僕はバックキャストをしたらラインを掴み損ない、フライが後方に飛んで行った。そして着水、すぐにググッときた。まさか? 「今日はあまり釣れなくてスミマセン」と僕が言うと、 「全然そんなことない。きっかけが欲しかったんだから」 とTgさんが言った。 僕たちは雨が降り始めると同時にラインを巻き取った。 |
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係留柱に座ってキャスト。堂々たるソルトFFのTgさん。 | |||||||||||||||||||||||