2017 釣乃記
第十二話  梅雨の真夏日の諸事情
「釣れたかい?」
「はい、すぐそこでヤマメが」
「おお〜」
草刈り休憩中の地元の方々からどよめきとも歓声ともとれる声があがった。
どうやらほとんど夏のこんな時間帯のこんな場所でヤマメを釣ったことに驚かれたようだ。
「雨が降ったから良くなったと期待したんですが、もうひとつですねー」と言うと、みなさん笑っておられた。
朝一のヤマメも草刈りも、暑くなる前には済ませたいところだ。
いくらか釣り上がってみる事にした。今年はあまり釣り上がりのスタイルではやっていない。
少し行くとライズ発見。反転流の中だ。ちっとやっかいな場所だった。
反転流の側へ移動し、その下流へフライを落とす。フライは流れに沿って上流方向へ流れていった。
確かにライズしたはずだったのにフライに出てくるヤマメは居なかった。

更に移動、今度はたら〜っとしたこれまた攻め難いプール。
ケロロ先生、その吸盤があればボルダリングもお手の物ですね?(^^;)
備え付けのラダーがあれば脱渓もらくちん、ほっほ〜い(*^^*)
流れがやや荒れている感じだったが、大きめのドライフライをキャスト。ぽーーんっ! とヤマメが飛び出した。掛からない。
かなり良い型だった。くそっ! そのあと何度キャストしてもヤマメは出てこなかった。やっぱりチャンスは一度きりか。
更に下流に下り、そこから別の支流を遡る。支流と言ってもやっぱり暑い。川沿いの道は釣り師らしき車が頻繁に行ったり来たりを繰り返している。みんな待ち望んでいた雨が降ったから、こぞって川へやってきてるんだろう。
僕も車を停められる路肩に乗り入れ、川へ下りた。時刻は昼を回っているからすでに誰かがやったあとかも知れない。流れは申し分ない水量だったが、絶好のポイントは沈黙を保ったままだった。
梅雨の夏日のプールの一匹。
この日の釣行の三日前、かなりの豪雨が降った。雷とiPhoneの緊急速報でほとんど寝れなかった。
そして週末、どれくらい増水しているかだが、この機会を逃す手はない。満を持して川へ向かった訳だが、想像していたほどの増水はなかった。
着いてすぐに草刈り作業横の流れで一匹。確かに渇水ではないし、一度増えてヌルが洗われたのだろう、川底もきれいになっていた。
そのあとの減水し始めの、条件としてはベストのようにも思えたのだが。
水路のふちは歩くのにバランスが大変・・・って一段下を歩けば?(^o^;)
暑い時のヤマメは顔つきがけわしい・・・。
一番良さげなところに最初に投げた。沈黙。またグンと気温が上がった気がした。梅雨と言ってもこの前のまとまった雨以降は完全に夏になってしまっている。
岩の上に立ってプールを見渡す。するとでかいヤマメがクルージングしているではないか。悠々自適、これはフライを食いそうもない。
ヤマメだって暑い夏はゆっくりリラックスして過ごさないと持たないよな、きっと。
ヤマメの行った先、僕もリラックスして投げたフライに水しぶきが上がった。
この川は大きめの支流だから、開けていて明るい。昨今ニュースになっている熊も、集落がたくさんあるし草刈り作業中だしで、ビクビクすることはなかった。
しかしその分日が高くなってくるにつれ、暑さも堪えてくる。するとヤマメの反応も悪くなってくるような気がする。
10時になったので草刈り作業横の流れに見切りをつけ、移動する事にした。
少し下流の大プールの流れ込み。ここは出るでしょ? というポイントだった。