2017 釣乃記
第十六話  こんな釣りの在り方
(沈み石の前についている)僕はそこだけに集中してフライを投じた。
予想通り、沈み石から出たアマゴが飛びついてきた。小さいけれどなんとか最後の釣りが成立したことになる。
まだ時間は早く、気温も低い。これから先に期待の持てるポイントがいくつかある。

赤トンボが飛び、クモの巣はかなり少ない。八月下旬になるとたいてい見られる光景だ。
更に釣り上がる。すでに日差しは強烈に水面に当たっている。
またまた沈み石のポイント。フライを見に来たが食いつかず。
たっぷりとした緩い流れでも出たが、食いきれず。ドラグが掛かっていたか。
そしてまた荒い瀬でフライのすぐ横に出た。合わすが食ってないから掛かる訳ない。
二匹目のアマゴ以降、一匹も釣れない。でも逆にどんどん渓の元気さが伝わってきた。

僕は釣れないのになんだかうれしくて、笑ってしまった。
緑の緑のシールド。ところどころ紅葉が・・・。
あらよっと。ほんじゃあ来年まで、またねっ!(*^^*)
去年のシーズン最後の釣りはひどい結果だった。結果ばかりを気にする訳ではないが、釣りに行くのだからそれも大事。
タイミングもあるが、八月末というのは釣りをするのにかなり条件は悪い気がする。そうなると禁漁前のこの時期の釣りは、かなり慎重になってしまう。去年の禁漁前最終釣行の結果・・・、今年はなんとしてもそれだけは回避したい。
前回の軽トラ釣行は、サイズ的には満足のいくものではなかったが、釣友との楽しい釣りだし軽トラで行くというシチュエーションもあり、源流へ行った事もあってかなり印象深い釣りになった。
このままこの釣りを最後にすれば、気持ちよくシーズンが締め括れるのではないか? と、僕はそう思った。
バンブーロッドと生気のみなぎるアマゴ。
アシの成長著しいこの川は、しかし今年初めて入ってみたが、以前より少しアシが減ってきているように思えた。
水量もまずまず。十分釣りになるレベルだ。

時折ホイッスルを吹く。川沿いに道路が通っているし、ぽつりぽつりと集落もあるのだが、それでも熊が出たらとびくびくしてしまう。せめて鈴を鳴らしたりホイッスルを吹いたりして、熊を遠ざける努力はせねば。
最終釣行ランチはチキンラーメン煮卵入り(*^^*)
昼になれば日差しはまだまだ容赦ない。
チャラ瀬が続く区間。おそらく山の陰でずっと日陰の場所だ。
またアシ際を狙う。一投目。すぐに出た。
掛かったが流れに乗って下っていった。僕は焦って追いかける。こういう時ってどんなにバランス崩してもコケないよなあ、なんてのん気に考えてる場合か。
ネットで二度すくいそこなって、ようやくキャッチ。うん、でもそこまで大きくなかったな。
それでも元気さだけはしっかりとあった。良いアマゴだ。
ホイッスル、ついつい吹くの忘れちゃうんだよな(^^;)
軽トラ釣行の次が最後の週末だが、万が一その週末がさえない釣果に終わったら? なんてことを考えたら、最終週の釣行は実にリスキーでギャンブル性の高い釣りになること必至だ。

日が高くなってきた。朝の快適さは薄れつつある。
アシの際で水しぶきっ! 空振り。すぐあとにまた沈み石から出たがこれも空振り。
最初のチビアマゴだけだと釣れてなくはない。でもボウズが一番下ならその一つ上くらいの釣果だ。
CDCライツロイヤルをくわえたアマゴ様。