其ノ四百七  アゲハチョウと夏メバルの島
週の始めにまとまった雨が降り、川がいい感じになったはず。週末、僕は勇んで高速に乗り山へと向かった。
雨で少し水が増えたらここをやろう、と目をつけていたポイントをランガンする。
そのポイントを攻める度に良型が出てきたが、なんと一匹も釣る事ができず、暑さだけが体に残る口惜しい結果で帰路につかざるを得なかった。
翌日曜日、もし早く目が覚めたら・・・。
夏は満潮に分があるのか?
朝の島は霧に沈んでいた。じきに霧は消え晴れ間が出てきて暑さが襲いかかってくるだろう。
七月の島、釣りでは全くの初めてだ。しかもこれから暑くなっていこうとしている時間帯、釣れるのか釣れないのか、僕には全くの未知数だ。
9時過ぎが満潮なので、ちょうど満潮潮止まりに釣り開始。海の様子を見る限り、六月の日中に釣った時に酷似しているように思えた。
今回も活躍してくれました。○玉くん(^^;)
お馴染の七つの橋の島、六月の時は一投目で釣れた。実際ファーストキャストでさすがにそれはなかった。しかし満水の海は生気がみなぎっているように見える。二投目、キャストしてリトリーブすると今にもググッと引きそうな気配がむんむんする。そして、その感覚は的中し、ググッときた。本当にきた。初めての夏メバルが釣れた。
時間が経ち、じわじわと暑さがのしかかってきた。七月の島の釣りは初めて。しかも梅雨が明けた下旬の真夏。連日猛暑で最高気温が何度だとニュースになっているような時期だ。やや薄曇りで微風もあるのが救いだった。
ググっ! またきた。どうも暑い時期は満潮時がいいような気がする。一匹目ほどのサイズではないが、反応があるというのは気持ちが昂ぶる。
ググッ! ググッ! なんとワンキャストワンヒットになってきた。何年も前にあった立ち位置変えず二十連続ヒットの再来か? あれは冬だったから夏にこれが起こるとは、これまた信じられないような状況だ。
ただまだ満潮で潮の流れの向きは頻繁に変わる。場合によってはキャスト一回ごとに向きが逆になったりする。
でもこういうこともわかるようになってきたんだなあ。

熱中症対策で水分補給のために車に向かった。最初からこの防波堤にいる釣り人がロッドをあおった。動かない。根がかりか、お気の毒に、と思いながら通り過ぎようとしたら、その人がでかい魚を抜き上げた。
潮を含んだ風でなんだかシャツもネトッとするなあ。
(根がかりかと思うような魚!?)連続ヒットで気を良くしていたのに急に焦りを感じ始めた。
車を停めた手前にはオレンジ色の花がたくさん咲いていたが僕は気にもとめなかった。
水飲んでひと休みして防波堤へ戻った。短い時間だったのに状況はかなり変わっていた。下げ潮が始まっていた。
そしてメバルの反応はピタッと止まった。満潮時がいいという勘は当たっていたのか?
暑い時こそが花にも蝶にも活動期なんだなあ。
この防波堤にしては珍しく潮流が早い。そうか、今使っているタイプ2だとメバルの居る層までフライが沈まないのかも知れない。
そして満潮時の生気は地合いだったのだ。まだ釣れるチャンスを逸したのは僕だ。
暑さも増してきたので僕は引き上げる事にした。
途中のオレンジ色の花々にアゲハが蜜を吸いに来ていた。この蝶はひょっとしたら海を渡ってきたのかも知れないと僕はぼんやり思った。
海の中だってそれなりに暑いんでしょうね? メバル様(^^;)