其ノ三百五十五  島時間の法則
初めての港。まずはさぐりながら。
「チヌやっとるんじゃろ?」
「あ、いや、そういう訳では」
「チヌ、おるじゃろ?」
「は、ハア・・ごにょごにょ」
チヌの落とし込みのリールは元々フライリールを改良したものだから、僕の道具を見てそう思っても不思議ではない。
というか、僕のすぐ先で釣り支度始めてるけど、ちょっと近いんでないかい?
ま、快晴の土曜日、仕方ないか。
僕は反応のないこの港を離れることにした。
そのおちょぼ口でよくフライをくわえましたね(>▽<)
禁漁になってひと月半、その間にこの七つの島にくるのはこの日で三回目だ。もう住んだ方がいいんじゃないの?(^_^;
ただ、毎回釣りをする港は決まっていて、いい加減新規開拓せねばと思っていた。本土から二番目の島はいつもは通過するだけだったから、地図で見当つけて港を回ってみることにした。
ちょうどお昼が満潮で、午前中はどこも釣り人が多い。空いた場所でやってみてもウンともスンとも言わなかった。
港を転々とランガンしていく。途中、港や道路端でエギでアオリイカを狙っている釣り人がやたら目に付いた。アオリが日中で釣れるのもあと少しだろうから、みんなこぞって島にやってきているようだ。それにしてもエギングブームはすごい。
島の北側の海岸をぐるっと回った。昼になったので手ごろな海岸で昼食。エギの入っていたケースが捨ててあった。こういうことろがなー( #` ¬´#)
朝からランガンで回っているからいささか疲れた。今日はもういいかな、という気になってきた。
いつのまにか陽は傾き、ニャンコ先生も島の井戸端会議の人たちも帰って行った。
最後にちょっとだけやってみよう、とロッドを持ち出し港へ。海をのぞくとかなりの数のメバルらしき魚影が口を開けて何か捕食しているのが見えた。
そうか、夕まずめ、このタイミングこそまさに地合いだ。
ニャンコ先生と戯れた時間はちゃんと意味があった。
島々を繋ぐ橋。間近で見るとやっぱりおっきいやσ(^_^;)
二時間後には下げの潮流が始まる。それまでゆっくりしようと、食後に目の前の海にフライを投げてみたらクサフグが釣れた。
禁漁後の釣果としては前々回のスズメダイに続いて二匹目か。と言うか、カウントしていいものか?

二番目の島は諦める事にした。やはりいつもの三番目、四番目の島になったな。
まずは先に四番目の島へ向かった。目当ての防波堤は人気だから場所が空いているかどうかだ。
防波堤は空いていた。しめしめと早速キャスト。
水中には小魚の群れが見える。フライをくわえそうなサイズは皆無だった。しかし底の方にはきっといると信じて続けた。
「墨がようけ付いとろう。イカ釣れとるみたいなで」と帰り支度中の釣り師が話しかけてきた。それは見ればわかるんですけどね。
小一時間粘ったがコツリともしなかった。ここは冬のきびしい季節でならフライでも釣れるんだが。
さて、どうするか?
ひとつ戻って三番目の島へ。
港へ行く途中、島の人達が井戸端会議で盛り上がる場所に寄り道。前回とその前の祭りの時、いつも居るニャンコ先生は見えなかった。今日はどうだろうと思って探してみると、居た。
よかったとひと安心していると、ニャンコ先生の方から僕に近づきすりすりしてきた。
いつもは警戒されていたが、ようやく僕の事を覚えてくれたのだろうか? 仲良しの黒ニャンコもやってきて、僕はしばしニャンコ先生たちと戯れた。
やはり最後には島ニャンコ先生のお力を借りる事に。
このオフシーズン、初メバル。はやくおっきくなれよ〜。
潮は下がり始めているはずが、迫ってきてる?(; ゚×゚;)
そして日は暮れた。ニャンコ先生、また近々。