2017 釣乃記
第壱話  彼の川、ふたつの相違
あれこれ先情報が入りすぎるとなんだか新鮮味がなくなってしまうものだ。
心躍る最初の流れになんだか期待が持てなくなってしまっていた。

釣行先エリアに着くと、快晴無風の絶好の天気が待っていた。島のソルトウォーターのフライではこの天気ではまず釣果は望めない。しかし解禁直後の川なら別だ。ハッチもライズも十分ありうる。
以前は解禁一回目の釣行は晴れの特異日だと思えるほどだったが、ここ数年は寒々とした日が続いていた。
やっぱりよろけるか〜(^O^;)
すぐにも釣りを始めたいところだったが、先に腹ごしらえしておかないと。途中で中断するわけにはいかないのが春の釣りだから。

蕎麦を煮ながら情報を整理した。川に来る手前にある道の駅で会ったFさん。彼の情報によると数日前に別の人(Fuさん)が入って数匹のヤマメを手にしたと言う。その場所は話の様子からしてこの日入ろうと思っていたところだと僕は確信した。
前日ではないのでこれから入っても大丈夫だろうと思ったが、念のため別の場所も見当をつけておいた方がよさそうだ。
途中を飛ばしたが予定していた区間を釣り上がることが出来た。
で、結果はと言うとバラし一匹のみ。結局のところ微妙先行者は僕の釣り上がった所を先に全て釣り上がっていたのだろう。そう思うしかない。

解禁第一回目の釣り、思う場所に入って釣るイメージはでき上がっている。
しかし前情報や先行者でなんだかお腹がいっぱいになってしまった気がする。もちろん情報を頂いたことはとてもありがたい。
川とバンブー、ふたつの久しぶり。
目的の入渓ポイントに移動した。
僕が車を停めるつもりの場所と少し離れた所に別の釣り師らしき車が停まっていた。微妙だ。
仕度して川に向かって歩いていると二台の車がやってきた。ひとりはTgさんだった。
同じmaekawacraftユーザーの方だ。あれこれ情報交換をしているともう一台の車の人がFさんの言っていたFuさんだとわかった。
思いがけずこれから入ろうとしている区間の数日前の詳細情報をいただいた。
釣り開始前に昼飯。永谷園鴨南蛮蕎麦、鴨なし(^^;)
ああ、日が沈む。一気に冷えてくるのもこの季節故。
去年の一匹目よりはやや大きいがそれでも小さい(>▽<)
Tgさん、Fuさんと別れて目的の区間に入る。ドライフライを結び、しばらく釣り上がるが反応はない。こうなると微妙な場所に停まっていた車の釣り師が気になってきた。Tgさんは停まっている場所からしてもっと上流に入ったのだろうと言っていたが、僕にはそうは思えなかった。車を停めた場所から歩いて下流に移動し入渓するというのは釣り師なら誰でも考えそうな手だ。僕もそういうふうにする川が何ヶ所かある。
結局僕は区間の途中で無理やり脱渓した。車の所に戻ると微妙な停車位置の車は居なくなっていた。なんだ? それなら、と僕はまた川に戻った。無理やり脱渓した場所の少し上流、沢の流れ込む所から入った。
しかし今シーズンはずいぶん釣りの様子は変わった気がした。釣り場でこれほど釣り仲間と会うとは過去のシーズンからだと想像がつかない。
W氏と別れ僕は下流へ移動した。ここは?という場所で"アレ"(強風)が吹き始めた。
だいぶ時間が遅くなった。だいたいシーズン初期は粘ってもむつかしいから早く切り上げるのだが、これも様子が変わったひとつだ。
山の稜線に日が沈んだ。遅くまでやるのが抵抗ないのはメバル釣る時の時間帯に慣れたからかな?
フェザントテール、良いフライなんだけどな〜。
こうなると流石に焦ってきた。午後を回れば "アレ" がやって来るのは間違いない。次に向かったのは割と安易に入れるプールだった。
ちらりと虫が飛ぶのが見えた。ハッチはいくら起きてもおかしくないくらいの暖かさだ。フリースの上にレインジャケットを羽織ろうかと思っていたが着なくて正解だった。
向こう側と手前に流れがあり、中央は緩い反転流のこのプール。流すのにはなかなかに手ごわい。
いく度かキャストして流しているとフッとフライが消えた。
会う予感がしていたけどやっぱり会った。峠を越えて下りてきた車はW氏だった。
「えらい遅うまでやっとるな」とW氏。峠の向こう側は数は出たらしい。そっち行けば良かったかな。。
SNSでも解禁後最初の週末ということもあって、いろんな釣行の話が飛び交っている。

緩流反転流の一匹はまだまだ小さく、少し良さげな型のヤマメも出たが合わせ損なってしまった。
以前に比べたら解禁一回目の釣りの盛り上がりにも変化が(^^;)