2016 釣乃記
第壱話  20℃から始まるシーズン
「僕はルアーですが、解禁日は水温5度できびしかったです。今日は良さそうですよ」
と、僕を見下ろしてその人はお寺に入っていった。
どやどやと車3台で乗りつけたので、僕はてっきり漁協の鑑札チェックチームかと思ったが人数が多過ぎた。
お寺でなにか集まりがあるのか?
その中の一人、190cmはありそうな若い人の情報。確かに気温も暖かいし今年の解禁はなんとかボウズは回避できそうだ。
よよよ、よたつきまくっておりますσ(^_^;)
遡行しつつライズポイントを三ヶ所攻めた。ハッチ・ライズともに全くなく、出合い頭で叩いて出たヤマメはバラし、ふきのとうだけ摘んで車へ戻った。
途中また集落のおばあちゃんに会った。
「釣りですか?」 「あ、はい。でもさっき・・・?」
ん〜?別人か。同じ人に見える。
「今年は雪が多かったんでしょう?」 「そうそう、70cmくらい積もったわいね」
これもさっき話したな。やっぱり別の人か。
釣果が微妙だと帰りの足取りも微妙に重い(^_^;
解禁でこの川に来た時に、なんとか魚を手にできる頼みの綱の場所がある。
夕暮れ間近、頼みの川へ下りる手前の民家の畑で作業されていたおばあちゃんが「釣れますか?」と声をかけてきた。本日三回目。どうもみんな同じ人に見える。
「はあ、まだ時期が早くてむつかしいです」と答えた。もっといい返事をしたいのに。
頼みの場所でチビヤマメ一匹。
日は沈んだ。それでも日中の暑さの余韻はまだわずかに残っていた。
晴れたり曇ったりのお昼前。水はやや多め。
到着してすぐ釣行ランチ。正午前後は食べてる状況ではない?
車を停めたお寺横の脇にある畑で作業をしておられた地元のおばあちゃんが「釣りですか?」と聞いてきた。
「はい、釣れたらいいんですけど〜」と言うと、ここ数日の雪の様子を教えてくれた。
この日は雪は見当たらないが、前日くらいにようやくそうなったそうで、それまではかなりの積雪だったらしい。
あれこれ話しをして、「では、行ってきます」と言い、僕は川へ向かった。時間帯的には頃合いになっているはずだ。
はい、ここでもよたつく〜(>▽<)
下流側に移動することにした。車に乗り外気温計を見ると20℃!
一瞬目を疑った。暑いはずだ。
下流ライズポイントに車を停めると見慣れた車がやってきた。W氏だった。ここでまた情報交換。W氏は山を越えた別水系でかなり釣っているようだ。小さいのばかりだと言うことだがうらやましい。

急に強風が吹き荒れ始めた。これだと自然とキャストも荒くなる。
狙いの流れで出たが合わせが強過ぎて合わせ切れしてしまった。
なんだか針を掛けてしまって申し訳ない。
入渓前の情報収集が思いがけず次々と。
最初に車を降りた時に思ったが、空気が湿ってむっとするような感じだった。これはかなり気温が上がってハッチやライズも期待出来るのでは? と思えた。雪代を心配したが思ったほどではなくて、十分遡行できるしドライフライでいけそうな気がした。
入渓しキャスト、移動、キャスト。なかなかすぐにはヤマメの気配は感じられない。おっと、よろけた。あぶないあぶない。川歩きは半年振りなので感覚を取り戻すまでは慎重に。バランス感覚の衰えも自覚している。
川通しに行くとライズが期待出来るポイントがある。そこまでがんばる。ようやくライズポイントに着いた時にはかなり足が疲労していたし、ウェーディングシューズの当たりの悪いところが痛みだしてきた。そして、なにより暑い。汗が出ている。フリースは脱いで来るべきだった。