其ノ三百八十二  島の夏日と空腹
未明の町の中心部、大荷物で佇む人影はHさんに間違いなかった。まあこの時間にこの大荷物だから。
Hさんを拾いコンビニに寄り、島へ向かう。三週連続、赤い橋と白い橋を渡り繋いで行く島。

Hさんとは去年おととしと市内の向かいの離島での島釣行をいっしょにした。僕は二年続けてその島での釣果はなかった。
今週末もその島へ行く予定だったが、予定は二転三転、今向かっている島での釣りとなった。
新開発、なめろうラーメン。ふたつの違った食感が楽しめますσ(^_^;)
「昨夜なめろうをラーメンに乗せて食べたんよ。最初はなめろうが冷たくてあつ冷でふたつの温度の食感がよく、次第に残りのなめろうがスープで温められてまるでつみれのようになり、二種類の食べ方が楽しめた」
と、Hさんにひとしきりラーメンの話をしていると、じきに目的の島の港が近づいてきた。
40分で到着。釣り人は防波堤途中にひとり。僕たちはまずは突端へ向かった。夜が明け始めている。ラーメンの話をしたからなんだか腹が減ってきたな。
雲が降りてきている。雨はもちそうだけど。
Hさんはエギでイカを狙うが防波堤上に墨のあとは見られない。
僕は水面を観察した。ベイトが多い。水面を飛び跳ねたりしながら群れで泳いでいる。
「向かいの島との間の潮流がちょうどここにぶつかるからよさそうだかなあ」とHさんが漏らす。
と、Hさんのロッドが曲がった。エソだ。確かおととしの島の釣行の時もかなりエソを釣ってたな。
明るくなるにつれあとから釣り人が次々とやってきた。もう先週以上の賑わいになった。
朝になったが日差しは雲に隠れてくれた。
すぐ近くに陣取った釣り人がカマスを釣った。
「岸際じゃ」とHさんが言った。防波堤と平行にキャストしてリトリーブするのはよくやるやり方だが、すぐ横に別の釣り人がいてそれができない。
僕は一度離れた防波堤突端に移動した。いくらかほかの釣り人とは距離がおける。
防波堤沿いにキャストしリトリーブ、すると細長い魚影が何匹もついてきた。か、カマスか?
今回は釣った感がしっかりありました。
Hさんにウィングをカットしてもらい、これが・・。 もちろん帰りにはちりめん丼。Hさんお気に召しました?
フライをピックアップする寸前、魚がフライを引ったくった。
カマスだった。先週のよりもやや大きい。
すっかり明るくなってからの活性も先週と同じだ。あと数時間で満潮になる。
Hさんが太い魚を上げるのが見えた。エソのようだ。そのHさんが僕を呼んだ。防波堤の内側にカマスが群れで入っているらしい。
やってみると確かに中大型のカマスがついてくる。が、食わない。
Hさんがフライのウィングを短く切ったらどうかと言った。
群れが入ってきている。気温もぐんぐん上がる。
ちりめん丼をふたつ注文。まだ10時過ぎだった。
このあとHさんは別の釣友とダブルヘッダー、市内の向かいにある島へ向かう。暑くなりそうだった。
僕はHさんアレンジのフライで良型カマスを釣ったのでかなり満足していたから辞退した。
Hさんをフェリー乗り場に送ったあと、僕はすっかり晴れた帰路の途中にまた空腹を覚えた。
鯵のブロックがまだある。今日は鯵のなめろう茶漬けにでもしようと思った。
釣魚初キープまでもうひと息か?σ(^_^;)